1992 Fiscal Year Annual Research Report
多層膜超伝導体における臨界電流密度の異方性に関する研究
Project/Area Number |
04640327
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
桑沢 好則 千葉大学, 理学部, 助教授 (60009602)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野島 勉 千葉大学, 理学部, 助手 (80222199)
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Keywords | 多層膜超伝導体 / 臨界電流密度 / 上部臨界磁場 / 転移温度 / 量子磁束線 / パンケーキボルテックス / ステップワイズボルテックス / 磁束ピンニング |
Research Abstract |
最近、酸化物高温超伝導体の超伝導混合状態での量子磁束線の特異な構造が問題になっている。磁場を CuO面に傾けて印加したとき量子磁束線が階段状に侵入する (a) stepwise-vortex や CuO面に垂直方向成分のみ量子磁束線として存在する (b) 二次元 pancake-vortex が提案されている。これは高温超伝導体の層状構造に原因した超伝導秩序パラメーター Δ(r)の変調によると考えられている。本研究では、超伝導転移温度Tcが等しく電子拡散係数の異なる超伝導体 Nb とNbZr を交互に人工的に積層した層状の多層膜超伝導体の混合状態における量子磁束線の構造についてしらべた。この系は膜面に平行な磁場中おいて上部臨界磁場の近傍で Δ(r) の局在中心が T〜0.7Tcより高温側で Nb層 にあり低温側でNbZr層にあることが得られている。 Δ(r)のそれぞれの変調状態での膜面と磁場方向が平行なときの臨界電流密度の磁場依存性を磁場の向きと電流の向きが互に (1)直角と (2)平行の場合しらべ、さらに(1)(2)について磁場・温度一定下で臨界電流密度の膜面と磁場方向の角度依存性をしらべた。この実験の結果から得られたNb/NbZr 多層膜系の混合状態での量子磁束線の状態から上記の(a)(b)の構造について知見がえられた。論文は雑誌Physica Cに掲載された。 つぎに、もう一つの多層膜超伝導体として超伝導金属Vと反強磁性金属 Cr を交互に(1120)Al_2O_3および (001)MgOの二種類の単結晶基板上にエピタクシャル的に積層した人工格子膜について転移温度、上部臨界磁場の温度依存性などの物性測定が行なわれた。今回はV層の膜厚を300A^^・に固定し、Cr層の膜厚をいろいろ変化させた人工格子膜について調べた結果、上部臨界磁場や転移温度の振る舞いが積層膜の結晶方位軸の相違に強く相関すること判明した。この結果についての理論的解釈は目下進行中である。1993年4月1日の物理学会春季年会(東北大)で発表した。
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[Publications] T.Nojima et.al.: "Transport critical current density and dimensional crossover in Superconducting Nb/NbZr multilayers" Physica C. 206. 387-392 (1993)
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[Publications] T.Nojima et.al: "Anisotropy of critical current and 2D mixed state in superconducting Nb/NbZr multilayers" Proceeding of Fifth international symposium on superconducfivity.