1992 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04640335
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Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
萩原 亮 京都工芸繊維大学, 工芸学部, 講師 (70198654)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹内 信行 京都工芸繊維大学, 工芸学部, 助手 (50154977)
松浦 基浩 京都工芸繊維大学, 工芸学部, 教授 (80025361)
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Keywords | 複合系 / 非線型磁化率 / 逐次相転移 / 酸化物高温超伝導体 / 焼結体 / 非晶質 |
Research Abstract |
焼結体や非晶質化合物は非一様なランダム構造をもつ複合系であり、その相転移を基礎的に研究することが応用の観点からも重要な課題となりつつある。しかし、相転移を捉える観測量と、非一様性を考慮してこれを解析する手段が必ずしも明らかでないことが、こうした系の基礎研究の障害となっていた。そこで本研究では、我々が行った磁性層間化合物(GIC)の研究のなかで確立した、非線型磁化率(x_2)とその動特性の測定結果をもとにクラスター構造をもつ複合系の秩序化過程を調べる手法を、GIC系の他、焼結体酸化物超伝導体や非晶質シリケート系等に適用して、様々な複合系の相転移に関する知見を集積しその一般的法則を探ることを試みた。 本年度は、まず、広範な複合系の測定に適用できる広帯域の非線型磁気応答観測システムを開発・完成させた。装置は、256倍音成分まで分離可能な離散フーリエ変換方式の波形トレーサーとして構成され、サブmHz〜100Hzの測定周波数範囲で、実部と虚部の分離を含む正確な非線型応答の抽出が可能であることが確認された。 これを用いた実験で現在までに以下の知見を得た。まず、焼結体YBa_2Cu_4O_8の超伝導転移は2段階に起こり、そこで観測される反磁性磁化は、80K以下の結晶粒内のマイスナー効果と、約25K以下で生じる粒界の超伝導状態のつながりに起因するシールド効果の重ね合わせとして理解されることが分った。また、その低温側の臨界点でx_2の鋭いピークが現われるが、このピーク形は励起磁場を弱くすると対称発散的とななり、一様系の混合状態に類推を求めた臨界状態モデルでは説明し難しいことも明らかになった。他方、非晶質Ni-Si-O系については、直流磁化はTg=10Kのスピングラス的な挙動を示したが、x_2はこのTg付近でピークを示さず緩やかに符号を変え、この物質が均一なランダム秩序相をつくる所謂スピングラスとは異なることが示唆された。
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[Publications] M.Hagiwara: "Nonlinear Magnetic Response at the Critical Points of Graphite Compounds Intercalated by Transition Metal Chlorides" Int.J.Mod.Phys.B. (1993)
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[Publications] M.Matsuura: "Successive Transitions in YBa_2Cu_4O_8 Ceramic Superconductor by DC and AC Magnetic Measurements" Int.J.Mod.Phys.B. (1993)
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[Publications] M.Matsuura: "Is the Second Transition in the Hierarchical Spin Ordering of a Heterogeneous Magnet CoCl_2-GIC of a Percolation Type?" Physica A. 191. 316-320 (1992)