1992 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04640338
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
那須 三郎 大阪大学, 基礎工学部, 助教授 (00030057)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
遠藤 将一 大阪大学, 極限物質研究センター, 教授 (10001843)
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Keywords | ダイヤモンド・アンビル・セル / メスバウァー分光 / ペロブスカイト鉄酸化物 / Fe_3O_4 / FeO / 圧力相転移 / 磁気構造転移 / 高スピン低スピン転移 |
Research Abstract |
ダイヤモンド・アンビル・セルを用いた超高圧下メスバウアー分光は超高圧下での物性を調べる有力な手段であり,我々は今迄,純鉄の高圧相ε-Feやα-Fe_2O_3などの鉄酸化物,SFeO_3などのペロブスカイト型酸化物を試料として最高80GPaの超高圧下での室温測定を行い報告してきた。ダイヤモンド・アンビル・セルを用いた超高圧発生では非常に高い圧力を得ることができるが試料は極微少量に制限される為,セル・メスバウアー用ガンマ線源・ガンマ線検出器などの最適配置でのみ良質なメスバウアー・スペクトルを観測することができる。本研究では今迄の室温測定の成果をさらに発展させると同時に,セル・線源を液体ヘリウム・クライオスタット内に装着した温度可変超高圧下メスバウアー分光装置を開発しそれを利用して4.2Kから300Kまでの種々の温度での測定からε-Feの磁性,α-Fe,O_3,Fe_3O_4,FeOの超高圧下物性,SrFeO_3,CaFeO_3のFe原子価数不安定性等を明らかにすることを目的とした。液体ヘリウム・クライオスタットは室温測定用セルがそのまゝ装着され,駆動棒を用いて線源を装入できるものを用意して測定を試み,液体窒素温度では正常に測定可能であることが判明した。室温測定はCaFeO_3,SrFeO_3,Fe_3O_4,FeOについて最高70GPaまで行い,CaFeO_3のネール温度は29GPaで室温まで上昇し,Fe^<4+>は高スピンから低スピン状態へ転移すること,SrFeO_3ではネール温度が18GPaで室温まで上昇し,スピン状態は高スピン状態のまゝであるが,この物質が示す低温でのヘリカルスピン構造が強磁性に変態する事を発見した。Fe_3O_4ではFe^<2+>とFe^<3+>とが混在するBサイトのFe電子状態が圧力とともに顕著に変化し,26GPaで常磁性体である高圧相へ一次相転移することが明らかとなった。FeOでは8GPaでネール温度が300Kに上昇するが20GPa以上の圧力で得られた磁気分裂からFe^<2+>磁気モーメントが圧力によって増大することが始めて明らかとなった。
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[Publications] Saburo Nasu: "Mossbauer Study of CaFeO_3 under External High-Pressure" Hyperfine Interactions. 70. 1063-1066 (1992)
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[Publications] Saburo Nasu: "High Pressure Mossbauer Study of Perovkites Iron Oxides" Nuclear Instruments and Methods in Physics Research B. (1993)