1992 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04640344
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
繁岡 透 山口大学, 機器分析センター, 助教授 (50167441)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩田 允夫 山口大学, 理学部, 教授 (50034715)
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Keywords | 磁気異方性 / 希土類三元化合物 / 結晶場 / RRu_2Si_2 |
Research Abstract |
ThCr2Si2型の三元化合物PrRu_2Si_2において見いだされた巨大磁気異方性の起因を明らかにする事を目的として研究を行った。そのために、まず、単結晶育成装置の改良を行った;すなわち、水冷トリアーク炉用チャンバーを購入し、炉全体の温度の安定化を計った。その結果、結晶育成条件に、かなり安定度の向上が見られた。そこで、当初の予定であった擬三元系(Pr_<1‐X>LA_X)Ru_2Si_2の単結晶育成を試みたが、現在のところ成功していない。これは、Laが特に酸化しやすいためだと考えられる。このような化合物の単結晶育成のためには、今後、炉中の雰囲気(Arガス)の純度をさらに向上させるため、高真空排気装置やArガス清浄器の設置が必要であると考えられる。次に、PrRu_2Si_2と比較のため、軌道角運動量を持たないGd-化合物および周期律表の隣のNd-化合物の単結晶の育成を試み、成功した。これらの磁気的測定および中性子回折(Nd-化合物のみ)を行い、磁気異方性に関して、次のような事を見いだした:GdRu_2Si_2は、T_N=45Kの反強磁性体で、39Kにもなんらかの磁気転移を示す。低温(4.2K)では、少なくとも三段階のメタ磁性転移を示す。そのうちの二つは、かなりシャープな転移である。磁化容易方向は、c‐軸で、磁気異方性は、軌道角運動量L=0にもかかわらず、かなり大きい。NdRu_2Si_2は、T_N=23Kの反強磁性体で、8Kで反強磁性-フェリ磁性転移を示す。磁化容易軸はc‐軸であり、磁気異方性は、非常に大きい。これらのことから、RRu_2Si_2系における巨大な磁気異方性には、強い結晶場効交のほかにGdの大きな磁気異方性をになっている可能性のある伝導電子を仲介にした異方的交換相互作用などが大きな役割を果たしていると推察される。今後、当初の計画のように擬三元系(Pr,La)Ru_2Si_2の単結晶育成を試み、さらにこの巨大磁気異方性の起因を追求したいと考えている。
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