1992 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04640352
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
辻 和彦 慶応義塾大学, 理工学部, 助教授 (10114563)
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Keywords | 相転移 / アモルファス化 / 高圧 / 低温 / 放射光 / X線回折 / 半導体 / 準安定相 |
Research Abstract |
高圧低温でのX線回折実験により、GaSbおよびAISbにおいて、クエンチされた高圧相からのアモルファス化を見出した。圧力発生にはダイヤモンドアンビル型超高圧装置を用い、X線源として放射光を使用した。 GaSbでは、高圧金属相が90Kの低温で減圧することにより低圧までクエンチされること、クエンチされた高圧相を昇温すると相転移が起こるが、低圧ではアモルファス化が起こり、中間圧力では元のZnS型構造の安定結晶相に転移することを見出した。また、これらの転移の起こり始める温度が圧力によって異なり、低圧ほど低温になることが分かった。また、25OKおよび270Kで高圧相を減圧するとアモルファス化が起こることを見出した。これらの結果から、温度圧力相図上にアモルファス化の起こる領域と、元の安定結晶に転移する領域を描くことができた。また、AlSbでも同様のアモルファス化が起こることを見出した。 これらの結果を自由エネルギーの圧力変化を考えて解析し、相転移の際に越えるポテンシャル障壁の高さが圧力によって変化すること、またその変化の大きさが各相間で異なることが分かった。以上の結果を、シリコンやゲルマニウムの結果と比較することによってIII-V化合物のように結合にイオン性をもつ物質では、元の安定結晶への転移が起こりやすくなり、アモルファス化が次第に起こりにくくなることが分かった。 さらに、イオン性の異なる物質について同様の研究を続けている。
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