1993 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04640357
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Research Institution | The Nishi Tokyo University |
Principal Investigator |
小暮 嘉明 西東京科学大学, 理工学部, 助教授 (20016124)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堂山 昌男 西東京科学大学, 理工学部, 教授 (40010748)
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Keywords | ガラス転移 / 緩和現象 / 超イオン導電体 / 熱線法 / 超音波 / 原子間ポテンシャル |
Research Abstract |
超イオン導電体(AgI)_X(AgPO_3)_<1-X>のガラス転移点における熱および超音波測定 (AgI)_X(AgPO_3)_<1-X>は100℃前後でガラス転移を示すのでガラス転移の研究には適した物質系である.我々は熱線法を改良し,この物質の熱伝導率,熱拡散率を20-200℃の温度領域で測定した.AgIの濃度x=0およびx=0.5試料について測定した結果,ガラス転移点で熱伝導率は異常な増加を示したが,熱拡散率には変化が見られなかった.このことから,熱伝導率の異常は転移点での比熱の増加に由来するものと考えられる.現在更に詳細な実験を続けている.一方,ガラス転移点での原子の緩和過程,およびその圧力変化を調べるため,超音波測定用のセルを作製し,予備実験を行った.今後,高圧下での超音波測定の実験を進めていく予定であり,その結果を上記の熱測定の結果と比較検討することにより,ガラス転移における緩和過程の機構が明かにされるものと思われる. ガラス転移の計算機シミュレーション ガラス転移の過程における原子のダイナミクスを追跡する方法として,計算機シミュレーションが考えられる.ガラス状態の原子構造については多くの研究がなされているが,個々の原子のダイナミクスを研究するには多く計算時間を必要とし,そこで問題となるのが原子間ポテンシャルである.そのため我々は単純で合理的なポテンシャルの開発に着手した.最近報告されている原子挿入ポテンシャルの概念に基づいたいくつかのモデルを作り,種々の物性値と比較して評価を行った結果,従来のものよりも単純で計算時間のかからないポテンシャルでシミュレーションが可能なことが分った.それらを用いたガラス転移の研究を進めている.
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Y.Hiki: "An Experimental Method for Studying Thermal Transport in Condensed Matter" Proceedings of the Japan Acadmy. 69B. 51-54 (1993)
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[Publications] 小暮,嘉明: "非平衡系・不均質系の熱物性-原子の拡散と粘性-" 熱物性. 7. 159-164 (1993)
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[Publications] 小暮,嘉明: "非平衡系・不均質系の熱物性-新物質の熱物性-" 熱物性. 7. 253-258 (1993)