1993 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04640363
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
太田 隆夫 お茶の水女子大学, 理学部, 教授 (50127990)
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Keywords | 非平衡開放系 / 反応拡散系 / パターンダイナミクス / 界面ダイナミクス / 伝ぱんするパルス / 興奮性 / 脈動 / 周期倍化 |
Research Abstract |
興奮性をもつ反応拡散系のパターンダイナミクスについて以下の成果を得た。 1・グロー放電における放電パターンや半導体の非線形伝導におけるドメインの振動を理論的に調べるため、そのモデルとして1興奮因子と2抑制因子が結合した興奮性反応拡散方程式を導入し、計算機実験および界面ダイナミクス法による研究を行なった。放電パターンと関係つけるため、興奮因子の拡散は十分小さく、二つの抑制因子のうち、一方の拡散定数が十分大きいと仮定した。興奮因子の拡散が非常に小さいため、興奮・非興奮ドメイン境界層は十分薄く、ドメインの運動を界面ダイナミクスで表現できる。空間1次元系の界面方程式を導出し、その線形安定性解析から空間的に周期的な興奮ドメインが不安定となる分岐ダイアグラムを求めた。 さらに、界面方程式の数値シミュレーションを行い、不安定が起こったあとでの解の挙動を調べた。パラメータを変えていくと、ドメインの脈動(breathing motion)から横搖れ運動(wiggling motion)への変化がみられ、脈動と横搖れ運動が競合するパラメータでは周期倍化、準周期運動などのような複雑な振舞いが生じることを確認した。 2・一様平衡解とリミットサイクル解が共存した1興奮・1抑制反応拡散方程式系に関しては、計算機実験によって重要な進展があった。パルスとパルスの衝突によって振動するドメインが自発的に形成され、しかも、そこからまわりに連結波(wave train)を放射した。空間2次元ではいわゆる同心円波の自己的生成が起こった。空間の限られた領域を興奮させた初期条件から出発しても、それが振動ドメインとなり連結波をだす。同心円波は化学反応系に限らず、液晶対流系でも報告されている。しかも、後者では不純物などのペースメーカーなしで自発的に発生しており、私たちの結果は決して非現実的なものではない。
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[Publications] T.Ohta and H.Hayakawa: "Ordering dynamics in a non-conserved system…" Physica A. 204. 482-498 (1994)
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[Publications] R.Kobayashi,T.Ohta 他: "Self-organized pulse generator in a reaction-diffusion system" Phys.Rev.Letters. (発表予定).
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[Publications] M.Suzuki,T.Ohta 他: "Breathing and wiggling motions in three species-laterally…" Physica D. (発表予定).
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[Publications] J.D.Ganton,T.Ohta 他編: "Phase Transitions and Pattern Formation(Physica A 特別号)" Elsevier Science(Amsterdam), 812 (1994)