1993 Fiscal Year Annual Research Report
キセノンを添加した液体アルゴンの発光波長とその光電離検出器への応用
Project/Area Number |
04640392
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Research Institution | SAITAMA COLLEGE OF HEALTH |
Principal Investigator |
増田 公明 埼玉県立衛生短期大学, 一般教養, 助教授 (40173744)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柴村 英道 埼玉県立衛生短期大学, 一般教養, 助教授 (30100605)
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Keywords | 希ガス液体 / シンチレーション / 光電離 / 放射線検出器 |
Research Abstract |
液体アルゴンにおけるalpha線に対する電離収量は、10kV/cmの電場において、始めに生成された電荷の10%程度である。これはalpha線の飛跡内の電離密度が大きいために電荷のかなりの部分が再結合してしまい、電離信号として取り出せないことによる。そこで液体アルゴンにアレンやトリメチルアミン(TMA)のような電離ポテンシャルの低い分子を少量混入すると、再結合の結果放出されるシンチレーション光がこの分子を電離して電荷信号として取り出すことができる。この光電離効率はアレンで60%、TMAやトリエチルアミン(TEA)で約20%である。一方、同様の現象は液体キセノンでも生じ、効率はTMA、TEAで約80%と大きい。このような効率の違いの原因を調べるために、まず液体アルゴン中のシンチレーション光の波長と混入分子の電離ポテンシャルの関係、特に光電離に対する余剰エネルギー(波長と電離ポテンシャルの差)に注目する。 液体アルゴンのシンチレーション光の波長は130nmで、液体キセノンのそれは175nmである。液体アルゴンにキセノンを添加すると、シンチレーション光の波長は10〜200ppmのキセノン濃度に対して130nmから175nmへ移行する。 これをもとにして、液体アルゴン+キセノンにさらにTMAを加えてシンチレーション光により光電離を起こさせてその効率を測定し、波長との関連を調べた。測定はグリッド付電離箱を用いてAm-241のalpha線に対する収集電荷量を測定した。キセノンの濃度は100〜2000ppmで、TMAの濃度は30〜50ppmである。結果として、液体アルゴン中のTMAの光電離効率はキセノンの添加によって減少し、余剰エネルギーが小さいほど効率も小さくなることがわかった。従って、液体アルゴンと液体キセノンにおける効率の違いは、余剰エネルギーの大きさによるものではなく、液体分子自身に起因するものと考えられる。
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