1992 Fiscal Year Annual Research Report
北陸および飛騨における地震の下限と熱構造に関する調査・研究
Project/Area Number |
04640402
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
伊藤 潔 京都大学, 防災研究所, 助教授 (80022721)
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Keywords | 震源分布 / 地震の下限 / 地震の深さ / 内陸大地震 / 地殻強度 / サイスミシティ / 地殻熱流量 / 熱構造 |
Research Abstract |
中部地方北西部から北陸地方にかけての微小地震観測の検震データを整理し、震源の再決定を行った。データは1978年から1992年まで15年分であるが、震源を精密に再決定するため、その間の観測点移動、データの記録形式の変更などを行い、全期間のデータを同じように処理できるようにした。また、震源決定に使用する走時をチェックするため、当該地域で観測されている人工地震、3次元インバージョン等の結果を調査し、観測点補正値を求めた。これらをもとに震源の再決定を行ったが、当該地域は観測点の密度が近畿地方北部に比ベて荒いので、近畿地方ほど地震の下眼を精度良く求めることはできなかった。しかし、従来の分布に比ベれば、精度の良い深さ分布を得ることができた。その結果、中部山岳地域と、その東側の跡津川断層付近では深さの下限が大きく異なり、中部山岳では5-8Km、その東側では12-15Kmであることがわかったさらに、中部山岳地域でも、火山村近では3-5Kmと浅く、火山と火山の中間では5-8Kmとやや深くなることも分かった。これらのことは地震の下限が概略的には、地殻の熱構造に緊密に関連していることを示している。 一方、地殻の下部からの反射波が顕著に見られる地域がある。中部山岳地域ではその深さは25-35Kmであることが、人工地震の波形の解析から得られた。この深さは、地震の下限に比ベればやや深い。これらの調査のために、自然地震の反射波の記録を集めて解析中である。次年度ではこれらの結果と上記の結果を比較する。また、熱構造と地震発生の深さについては種々のモデルを検討中である。特に地殻の強度と大地震の発生についての調査を進める予定である。
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[Publications] Ito.K.: "Cutoff depth of seismicity and large erathquakes near active Volcanoes in Japan" Tectonophys.217. 11-21 (1992)
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[Publications] 伊藤 潔: "近畿地方における人工地震探査(続)" 京大防災研年報. 35B-1. 347-358 (1992)