1993 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04640405
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Research Institution | National Museum of Nature and Science,Tokyo |
Principal Investigator |
大追 正弘 国立科学博物館, 理工学研究部, 室長 (60132693)
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Keywords | マントル物質 / 熱伝導 / 高圧力 / 地球深部 |
Research Abstract |
3年継続の本研究の2年度目にあたり、高圧での測定の見透しをつけるための実験を行なっている。測定法に変更はなく、円盤形状の試料中を過渡的に一次元で伝わる熱流を使う方法である。測定系には、熱伝導率測定のために試料を瞬時加熱する電源、試料の温度変化を検出する熱電対からの微小な熱起電力を増幅し低域フィルターを出力に備えた直流増幅器、それに温度変化の波形を記録するトランジェントコンヴァータから成る。試験片には、常圧での熱伝導率がよくわかっていて高圧下での測定例も多い溶融石英を、実験法が確立するまで使用する。高圧下の測定は、1辺の長さが11mmないし13mmのアンビルをもつ分割球装置によるので、円盤状試料の直径は5〜6mmとなる。この大きさでは、先に試したニクロム線を折り畳んだヒーターは使えなくなるので、金属の薄板をエッチングまたは切り抜き加工したヒーターを試作中である。今後はこのヒーターによって、パソコンとGP‐IBインターフェイスと組み合わせた実験を常圧下で行なった後、高圧での試験を(岡山大学地球内部研究センターなどで)行う予定である。 測定実験と平行して、地球内部研究センターにて高圧鉱物(マントル物質)の焼結体試料の作成を行っている。これは、高圧下での熱伝導率測定、弾性波速度測定など巨視的な性質の測定実験に必要なことで、特に高圧下だけで安定に存在するような地球深部の物質の焼結体試料がさほどの困難なく手に入るようにしておく必要がある。これまでに、オリビンのalpha相とbeta相、メジャライトを含むガーネット、の緻密な焼結体を作る方法がほぼ確立した。
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