Research Abstract |
本年度の研究は,次の2テーマで構成された。 第一に,5月から10月にかけて,北アルプス・立山山域の雪原・雪渓(積雪域)のアルベードの実測,サンプリングによる不純物の固定を行った。アルベード値は,5月中旬の0.73から,9月の0.20への低下が見られた。しかし,その変化は連続的ではなく、6月末から7月中旬にかけて変化の遅い時期(II期)があり,その前のI期,その後のIII期と3つのステージに分けることができた。I期については,冬期から春期にかけて堆積した黄砂の濃縮と雪質(粒径)の変化が影響し,最後には,バクテリア,緑藻が見られるようになった。第II期は,緑藻が増える時期に対応していた。II期の終りから,光学的には黒く見えるラン藻が増加し,これがIII期のアルベードの急激な低下に影響した。積雪域表面の不純物の種類は季節変化し,それがアルベードに影響を与えることが分った。また,同時に測定された波長別アルベードは,6月には 0.6μm付近で最大値を示したのに対し,10月には,波長が短かい方から長い方にかけて連続的に増加している傾向を示した。これは,有機物等の増加に伴ない,可視域のアルベードの低下が大きくなったためである。 第二に,不純物を含む積雪表面アルベードのモデル作成のための作業を行った。過去に作成されている数種類のアルベードモデル(Warren and Wiscombe, 山崎他)を比較検討し,不純物をパラメタライズするのに適当と考えられるモデルの設計を始めた。 次年度(平成5年度)には,1)平成4年度に取得したサンプル(山域,平地)の定量的分析,2)積雪域アルベードの広域分布の時間変化を調べ,アルベードに対する積雪域の規模効果の評価,3)アルベードモデルの完成,を予定している
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