1992 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04640415
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Research Institution | Shiga University |
Principal Investigator |
遠藤 修一 滋賀大学, 教育学部, 教授 (30111884)
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Keywords | 湖沼 / 濁度 / 懸濁物質 / 植物プランクトン / 湖流 / びわ湖 |
Research Abstract |
びわ湖における湖底高濁度層の実態を捉えるために、1992年4月から1993年3月までの1年間を通して、約10日ごとに濁度・水温・電導度の鉛直分布、および風向・風速・透明度などの観測を繰り返し行った。観測は、南湖の浜大津沖と北湖の明神崎を結ぶ測線上で2km間隔に測点を設けて実施した。また、夏季には自記流向流速水質計をびわ湖の5箇所に係留し、流速や濁度などの連続記録を得た。さらに、雄松崎沖の水深75mの地点で1昼夜にわたり水温・濁度・電導度の鉛直分布の連続観測や採水などを実施した。その結果、湖底高濁度層は、5月から次第に発達し、9月に濁度値・厚さ共に最大となり、その後次第に衰退し、非成層期の冬季にはほとんど濁度の分布は見られないことがわかった。ただし、成層期における湖底付近の濁度の値は高々3〜5ppm程度であり、南湖などで観測される濁りに比べると小さなものである。 採水した湖水の分析から、湖底付近の濁りは主として無機物(土壌起源)であり、底泥とは性質が異なることがわかった。湖底高濁度層の形成・維持機構としては、次の3つが考えられる。1つ目は、成層期の表層で増殖した植物プランクトンが、分解しながらゆっくり沈降し、湖底付近で漂っていること。2つ目は、台風などの大雨により河川から高濁度水が水温躍層付近に流入し、粒子ごとの沈降速度の違いから、細粒物質がゆっくり沈降し、湖底付近で堆積しきれずにいること。3つ目は、強風によって発達した内部波に伴う底層流により湖底付近の軽い物質(分解過程の植物プランクトンなど)が浮遊していること、などである。事実、8月の台風13号によって、大量の濁水がびわ湖の水温躍層(深さ10〜20m)に流入していて、数日間停滞した後、沈降し、湖底付近の濁度が上昇しているのが観測された。
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Research Products
(1 results)