1992 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04640455
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
増岡 俊夫 大阪市立大学, 工学部, 講師 (80047208)
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Keywords | 2価イオン化 / 2価イオン化断面積 / イオン解離 / フラグメントイオン / 運動エネルギー分布 / トリプルコインシデンス / 電子相関 / シンクロトロン放射 |
Research Abstract |
分子科学研究所のUVSOR施設に設置されている光電子-光イオン、光イオン-光イオン、光電子-光イオン-光イオンの多重同時測定システムを駆使して、OCS、Me_3SiSiCl_3、CH_2=CD_2、CH_2=CF_2、NOおよびCOなどの気体分子について調べた。その結果、2〜3価分子陽イオンが生成されるエネルギー領域で、これらのイオンの生成と解離のダイナミクスについて多くの新しい知見を得ることができた。具体的には1.OCS(硫化カルボニル)の2価イオン(OCS^<2+>)の解離にともなって解放される運動エネルギー分布を励起エネルギー37〜100eVの領域でOC^++S^+、O^++S^++C、C^++S^++Oの3つの主要な解離チャネルについて調べた。その結果、2価イオン解離のしきい近傍では基底状態にある2個のフラグメントイオンが生成されるという従来の定説は誤っており、一方のフラグメントは励起状態にあることが判った(研究発表1)。2.OCSの1価(σ^+)、2価(σ^<2+>)、3価(σ^<3+>)イオン化断面積を決定した。σ^<2+>/σ^+の比はhv=60eVでO.34とかなり大きく、OCSと同電子系列であるZn原子についての報告値と比較的に良く一致した。親のOCS^+、OCS^<2+>、OCS^<3+>イオンのイオン分岐比と部分断面積をそれぞれ分離して決定することができた(研究発表2)。3.光電子-光イオン-光イオンの3重同時計測からOCS、SO_2、CH_3Fの2,3価イオンの解離のダイナミクスを調べた。ABC^<2+>→A^++B^++Cのような3体解離のメカニズムは46〜80evの範囲では励起エネルギーに依存しておらず、サイトに固有な2つの正孔が存在することが示唆された。またOCSとSO_22価イオンは高エネルギー領域ではばらばらになって原子化することも判った(研究発表5)。4.NOとCOについて、1価と2価イオン化断面積を求め、それぞれの親イオンのイオン分岐比と部分断面積を求めた(投稿準備中)。
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[Publications] T.Masuoka,I.Koyano,and N.Saito: "Kinetic-energy release in the dissociative double photoionization of OCS" Journal of Chemical Physics. 97. 2392-2399 (1992)
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[Publications] T.Masuoka and H.Doi: "Single-,double-,and triple-photoionization cross sections of carbonyl sulfide(OCS)and ionic fragmentation of OCS^+,OCS^<2+>,and OCS^<3+>" Physical Review A. 47. 278-288 (1993)
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[Publications] S.Nagaoka,J.Ohshita,M.Ishikawa,T.Masuoka,and I.Koyano: "Ionic fragmentation processes following Si:2p core level photoexcitation of 1,1,1-trimethyltrichlorodisilane(Me_3SiSiCl_3)" Journal of Physical Chemistry. 97. (1993)
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[Publications] T.Ibuki,T.Imamura,I.Koyano,T.Masuoka,and C.E.Brion: "Dissociation of doubly charged CH_2=CD_2 and CH_2=CF_2 ethylenes in the valence shell photoexcitation" Journal of Chemical Physics. 98. (1993)
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[Publications] T.Masuoka: "Dissociation dynalnics of doubly-and triply-charged inolecules studied by the triple photoelectron-photoion-photoion coincidence method" Journal of Chemical Physics. 98. (1993)