1992 Fiscal Year Annual Research Report
赤外円偏光二色性による光学活性分子の不斉構造の研究
Project/Area Number |
04640472
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
菅田 宏 大阪大学, たんぱく質研究所, 助教授 (20029953)
|
Keywords | 振動円偏光二色性 / 赤外円偏光二色性 / 円偏光二色性 / 水素結合 |
Research Abstract |
今年度購入した高輝度光源および回折格子の使用により、現在の振動円偏光二色性(VCD)測定装置の性能は下記の通りである。測定波数領域:10、000〜2、000cm^<-1>最小検知感度:△A=10^<-6>OD分解能:30〜4cm^<-1> ポリプチド鎖の局所的なコンホメーションの研究に振動円偏光二色性(VCD)法を応用するために、モデル化合物としてAc-L-Ala-MA、Piv-L-Ala-MA、Ac-L-Val-MA、Ac-L-Leu-MA、Ac-L-Phe-MA、Ac-L-Pro-MA、Piv-L-Pro-MAを合成し、四塩化炭素、重水素化クロロホルム、ジメチルスルホキシドの有機溶媒中でのIRCDを測定した。その結果、Amide A吸収帯のVCDは、N-H基の水素結合の状態に非常に敏感であることがわかった。濃厚溶液中で分子間水素結合を形成している状態では、これら全てのペプチドにおいて会合状態に特有の高波数側から(-+)のVCDカップレット構造が観測された。Ac-L-Ala-MA、Ac-L-Val-MA、Ac-L-Leu-MA、Ac-L-Phe-MAは希薄溶液中で5員環の分子内水素結合を形成したC_5構造をとり、3400cm^<-1>付近に高波数側から(+-)のVCDを示す。Ac-L-Pro-MA、Piv-L-Pro-MAは希薄溶液中で、7員環の分子内水素結合を形成したC_7構造をとり,3320-3330cm^<-1>に正のVCDバンドを示すことがわかった。 光学活性なα-およびβ-フェニルアルコールの四塩化炭素溶液中における分子内水素結合系のOH伸縮振動のVCDを測定し、OH伸縮振動のコットン効果とコンホメーションの関係を研究した。その結果、OH伸縮振動の旋光強度はdynamic polarization modelによって説明できることがわかった。
|
-
[Publications] L.D.Barron: "Experimental and Ab Initio Theoretical Vibrational Raman Optical Activity of Tartaric Acid" Spectrochim.Acta,48A,1051-1066(1992). 48A. 1051-1066 (1992)
-
[Publications] J.Teraoka: "An Extraordinarily Intense Vibrational Circular Dichroism in A Metmyogloblin Cyanide Complex" J.Am.Chem.Soc.,114,9211-9213(1992). 114. 9211-9213 (1192)