1992 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04640479
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Research Institution | National Astronomical Observatory of Japan |
Principal Investigator |
川口 建太郎 国立天文台, 電波天文学研究系, 助教授 (40158861)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
稲谷 順司 国立天文台, 電波天文学研究系, 教授 (20134629)
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Keywords | サブミリ波発振器 / 超電導発振器 / 星間分子 |
Research Abstract |
最近新しいタイプの超伝導サブミリ波発振器として注目されている磁束フロー型(FFO:Flux‐Flow Oscillator)発振器をサブミリ波分子分光に応用して、その有用性を示す事が本研究の目的である。FFO素子は電子総合技術研究所の桐生・神代氏によって製作され、大きさは4×4mm(厚さ 0.3mm)で、スパイラルアンテナ構造をしている。はじめに素子を直接液体ヘリウムに浸す事により素子の電圧・電流特性を測定した。数ガウスの外部磁場を変化させると、超電流が立上がる電圧がなめらかに変化している事が確かめられた。その電圧より発振周波数は500-1000GHz付近であった。出力は最大70μWと見積られた。 この出力を外部に取出して光源として利用するために、取出し窓付の金属製ヘリウムデュワーに装着し、素子を間接的に熱伝導で冷却する事を試みた。液体ヘリウムをデュワーに注ぐと素子が超伝導になるが、その時外部の磁束がトラップされる現象が認められたので、素子とデュワーの底板の間にヒーターを挿入して、超伝導温度付近で昇温、冷却を繰返すようにした。しかしこのヒーターにより、素子自体の冷却効果が悪くなり、ヒーターを加熱しない状態でも素子が超伝導温度以下に冷えなかった。これは素子と基盤の間の熱伝導の効率がよくない為なので、さまざまな低温接着剤を始めいろいろ試しているが、未だ冷却が不十分である。この方式がうまくいかなければ、素子全体を液体ヘリウムに浸した直接窓から電磁波を取り出す方法を開発する予定である。 本科件費の一部を用い、上記実験と並行して分子分光用の吸収セルの製作を行った。短寿命の星間分子を放電および高温セルと組合わせて効率よく生成できる装置で、新しい星間分子MgNCの検出に貢献した。この分子は、星間空間で最初に同定されたマグネシウム化合物である。
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Research Products
(1 results)