1992 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04640483
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
佐藤 瀏 岩手大学, 工学部, 教授 (00003872)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
千田 新一 岩手大学, 工学部, 助手 (60235348)
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Keywords | Varacin / Lissoclinotoxin A / ベンゼンチオール / オルトリチオ化 / ジチオール化 / 環状ポリスルフィド |
Research Abstract |
多数の硫黄が集積した環状ポリスルフィド類が、天然物中に見い出され、一方、その合成法が一般化されるなど、環状ポリスルフィド類が多くの有機化学者の注目を集めるようになってきた。本研究は海洋生物である"ホヤ"に見い出される生理活性物質である“Varacin"や“Lissoclinotoxin A"の全合成を目的として、併せてその基礎的研究を行うもので、環状ポリスルフィドその中でもベンゼン環に種々の置換基を有するベンゾペンタチエピン誘導体の一般的合成法の確立を検討するものである。これらの目的を達成するために次のような検討を行った。 1、置換基を持つベンゼンチオールのオルトリチオ化を経るジチオール化 任意の位置にメトキシ基やアミノエチル基などの置換基を持つベンゼンチオールの種々の有機リチウム化合物を用いるオルトリチオ化引き 続く硫黄化反応を検討した。その結果3位にメチル、エチル、イソプロピルそしてトリメチルシリル基を持つベンゼンジチオールを合成することに成功した。特に3,4-ジメトキシベンゼンジチオールの合成に成功した意義は大きい。 2、ベンゼンジチオールからの環状ポリスルフィドの合成 1、で得た3,4-ジメトキシベンゼンジチオールに当研究グループが 開発した独特のポリスフィドの画期的な合成方法である単体硫黄/液体アンモニアによる処理を行ったところVaracin やLissoclinotoxin A の部分骨格である3,4-ジメトキベンゾペンタチエピンを合成することに成功した。 3、環状ポリスルフィドの化学的および生物化学的性質の解明 合成に成功した3,4-ジメトキシベンゾペンタチエピンの生物化学的性質については現在検討を行っている。またこの研究で合成に成功した種々の環状ポリスルフィドの化学的性質についても種々検討し興味ある結果を得ることが出来た。
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[Publications] Naoki Yomoji,Shin-ichi Satoh,Satoshi Ogawa,and Ryu Sato: "First Example of Intramolecular Photochemical Oxygen Migration from Benzotrithiole 2-Oxides to Benzotrithiole 1-Oxides" Tetrahedron Letters. 34. 673-676 (1993)
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[Publications] Shin-ichi Chida,Takashi Yoshida,Takuya Shimizu,and Ryu Sato: "An Efficient and Convenient Method for the Synthesis of Cyclic Dithiosulfites" Sulfur Letters.
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[Publications] Shin-ichi Chida and Ryu Sato: "Synthesis and Reaction of 3-Aryl-3H-1,2-benzodithioles" Heterocycles.