1992 Fiscal Year Annual Research Report
窒素-ケイ素結合の特性を活用した連続多段階変換法の開発
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04640484
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Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
上原 忠夫 宇都宮大学, 工学部, 教授 (10004459)
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Keywords | 有機合成法 / 不斉共役付加反応 / 窒素求核剤 / β-ラクタム / 環化反応 / イミン / エノラート / 有機金属化合物 |
Research Abstract |
キラル補助基を持つ不飽和カルボン酸誘導体としてケイ皮酸(-)-8-フエニルメンチル(1)やN-シンナモイル(-)-ボルニルスルタム(2)を合成した。これらとリチウムN-ベンジルトリメチルシリルアミドとヨウ化銅を2:1の比で混合して得られる窒素求核剤[Bn(TMS)N]_2CuLi(3)との反応を行った。いずれの場合も1,4-付加体が優先的に生じ、(1)と(3)の反応生成物は72%de、(2)と(3)の反応生成物は90%deと高い選択性で得られた。これらの優先生成物のアミノ基の付いた炭素の絶対配置はともにRであった。このことは共役付加反応がS-シス配座を経て進行することを示しており、不斉発現機構に関する重要知見が得られた。次に、リチウムN-ベンジルトリメチルシリルアミドとシアン化銅を2:1の比で混合して高次複合体(4)を作り(2)と反応させた。この反応で生じたエノラートをアセトアルデヒドで捕捉すると、いわゆる三成分連結法が達成され、さらに水酸基を保護したのち収率71%、99%deでアンチ-β-アミノ,シン-β'-ヒドロキシカルボニル化合物が得られた。この化合物は容易にβ-ラクタムに変換され、生成物はチエナマイシンと同様の絶対配置をしていた。 α,β-不飽和カルボン酸メントキシエステルを両末端にもつ基質を合成し、リチウムN-ベンジルトリメチルシリルアミドとヨウ化銅や塩化亜鉛・TMEDAの複合化試薬を調製し、不斉連続共役付加-環化を試みた。主生成物は3(S)-(N-ベンジルアミノ)-2(S)-(-)-メントキシカルボニル-1(S)-シクロヘキサン-1-アセテートであった。銅複合化試薬に塩化亜鉛添加の条件で74%deまで選択性を向上できた。 N-トリメチルシリルアルジミンからt-ブトキシカルボニルアルジミンの合成に成功し、各種有機金属化合物と反応させると高収率で共役付加体が得られた。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Y.Yamoto: "Amide Cuprate Reagents as a New Class of Nitrogen Nucleophiles.Application to Asymmetric Synthesis of β-Lactams." Journal of American Chemical Society. 114. 5427-5429 (1992)
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[Publications] N.Shida: "Asymmetric Cyclization via Tandem Conjugate Addition by Using Metal Amide Reagents.Importance of the Folded Orientation of Two Enoate moieties." Journal of Organic Chemistry. 57. 5049-5051 (1992)