1992 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04640495
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
前田 侯子 お茶の水女子大学, 理学部, 教授 (40017190)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森 幸恵 お茶の水女子大学, 理学部, 助手 (90239624)
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Keywords | 吸着発光 / ビアクリジリデン / ビイソキノリデン / 電子的酸化・還元 / 化学発光 / ラジカル機構 / 金属酸化物 / アルミナ表面 |
Research Abstract |
本申請者は1989年にNN^1-二置換のビアクリジリデン誘導体(BA)が非極性溶媒中、酸素存在下で活性アルミナ表面に吸着する際、強い瞬間的発光とそれに続く弱いが発光時間の長い発光を示す新しい化学発光系を見出した。この現象の全体像を明らかにし、更に発展させるための検討により、以下のような結果を得た。 1)吸着剤としての固体酸化物の吸着発光に及ぼす影響:固体酸化物は構成する金属原子により、酸化・還元能が異なる。Al_2O_3の他MgO、ZnO、TiO_2など各種の無色の固体酸化物を用い、BAの吸着発光をルミカウンターを用いて検討した。その結果固体酸化物の吸着体としての能力(吸着量や強度)並びに酸化・還元能力が、発光強度及び発光持続時間に影響を与えていることが明かとなった。2)ビアクリデン類(BA)の他に基質を開発する目的で、BAのベンゾローグであるビキノリデン(BQ)及びビイソキノリデン(BIQ)の合成を行なった。二電子酸化体のBQ^<2+>、BIQ^<2+>をそれぞれ合成し、Na_2S_2O_4を用いて電子的還元を行なった。BIQ^<2+>については酸素を除いた雰囲気で還元体BIQが得られたが、BQは非常に酸化されやすく、BQ^<2+>への逆反応が進行しBQは得られなかった。このような差異は、本研究費で設置が可能になったサイクリックボルタンメトリー(CV)での測定により、還元のピーク電位がBIQ^<2+>では-0.5〜-0.7V、BQ^<2+>では-0.8〜-0.9V(Ag^+/Ag)と得られ、BQ^<2+>の還元体が不安定であることを示した。3)単離されたBIQはビラジカル状態にあり、BAと異なって空気に触れると中性溶媒中で非常に強い発光を示すことが認められた。BAとBIQの酸化反応に対するこの違いはCV測定の結果からBIQ^<2+>では-0.5〜-0.7Vに対してBA^<2+>では-0.3〜-0.5V(Ag^+/Ag)とわかり、これに基づいて説明できることが明らかとなった。またBIQ^<2+>のラジカル発光機構も明らかにした。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] J.Ohkanda,Y.Mori K.Maeda,E.Osawa: "Stractural aspects of the mechanical and thermal dissociation of the central bond in bis(triarylchromenyl)" J.Chem.Soc.,Perkin Trans.2,. 59-63 (1992)
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[Publications] Y.Mori,A.Hayakawa K.Maeda: "Structure of photostable 1-(hydroxyalkyl)pyrazin-2(1H)-ones" Acta Crystallogr.,Sect.C. 48. 123-126 (1992)
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[Publications] Y.Mori,Y.Matsuyama S.Yamada,K.Maeda: "Structure of 2,2'-polymethylene-1,1'-biisoquinolinium dibromides" Acta Crystallogr.,Sect.C. 48. 894-897 (1992)
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[Publications] Y.Mori,M.Sasaki,S.Yamada,K.Maeda: "Thermochromism of 5,10,15,20-tetraarylporphyrines at low temperature" Bull.Chem.Soc.Jpn.,. 65. 3358-3361 (1992)
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[Publications] S.Yamada,M.Kubo,H.Fuke,K.Maeda: "Photochemical ring closure of 10,10'-disubstituted-9,9'-biacridinylidenes followed by dehydrogenation" Bull.Chem.Soc.Jpn., in press. 66. (1993)
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[Publications] 分担執筆 前田 侯子,森 幸恵: "分子性結晶の反応" リアライズ社, 342 (1992)