1992 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04640498
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
奥山 格 大阪大学, 基礎工学部, 助教授 (40029484)
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Keywords | 閃光光分解 / レーザー光分解 / 光反応 / 不安定中間体 / ラジカルカチオン / カルボカチオン / 電子移動反応 |
Research Abstract |
1,3-ジチオラン誘導体として1-エトキシ-1,3-ジチオランを合成し,メタノール中で9-シアノアントラセンを受容体として,パイレックスガラス容器中で,高圧水銀灯照射を行ったところ,環開裂生成物を生じ,カルボカチオン中間体を経るアルコール交換は観則されなかった。生成したラジカルカチオンの環開裂が優先して起こったものと思われる。 9-ベンジルキサンテン(1)は,9-シアノアントラセン受容体存在下の光照射では複雑な反応を起こしたが,K_2S_2O_8の水溶液中で石英ガラス容器中で低圧水銀灯照射すると,速やかにキサントンが生成してくることがわかった。予想された生成物である9-キサンテノールは,同一条件では非常に速く光酸化を受けてキサントンを与えることがわかった。また,YAGレーザー(266nm)による光分解では,キサンテニリウムイオンの過渡吸収が370nmに観測された。これらの結果から,1のK_2S_2O_8水溶液光照射では,光分解で生成したSO_4^-への1からの電子移動により,1のラジカルカチオンが生成しそのC-C結合開裂によってキサンテニリウムイオンが生成することが明らかになったと言える。求核反応生成物である9-キサンテノールは容易にキサントンに酸化されることも明らかになった。9-クミルキサンテンでも全く同様の反応が見られた。 9-ベンジル-9-フェニルキサンテン(2)を同じような条件で光分解すると,9-フェニルキサンテニリウムイオンを生じ,対応するアルコールを効率よく生成することがわかった。今後,2のレーザー光分解によって生じるカルボカチオンの挙動を調べることにより,イオン対カチオンの挙動との比較から新しい展開が期待される。
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