1992 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04640530
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
宮下 正昭 長崎大学, 薬学部, 助教授 (50006326)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
入江 寛 長崎大学, 薬学部, 教授 (00025686)
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Keywords | ジョロウグモ / クモ毒素 / ネフィラトキシン-7 / ネフィラトキシン-8 / 全合成 / ポリアミン / アジド中間体 / グルタミン酸 |
Research Abstract |
ジョロウグモの毒素はアミノ酸とポリアミンから成る新しい型のペプチド様神経毒であり、グルタミン酸による神経筋興奮伝達を強力かつ特異的に遮断する事から、現在神経生理学の分野に於て極めて重要視されている化合物群である。本研究は、申請書の研究計画に従い、代表的クモ毒素であるネフィラトキシン類のうち、構造的に大きく異なっているNPTX-7およびNPTX-8の最初の全合成を目指して遂行されたものである。これらのクモ毒素の合成上の最大の課題はカダベリンやプトレアニンなどのポリアミン部の導入であるが、既に当該研究によって開発されたアジド中間体を用いる方法により極めて効率的にポリアミン部を導入できることが判明した。そして、NPTX-8の最初の全合成を達成すると共に、極く最近NPTX-7の全合成にも成功し、所期の目的を達成すると共に、予想以上の成果を収めることができた。この方法論は他のクモ毒や昆虫毒の合成にも適用できるものであり、今後幅広く応用されるものと期待される。 今回の合成により、新たにネフィラトキシン類の2つのタイプのクモ毒素の化学合成による供給ルートが拓かれた事になる。今後は、構造上もう一つタイプである6-ヒドロキシインドール核を有するネフィラトキシンの合成に着手する予定である。なお、今回の研究によって得られた成果のうちNPTX-8の合成は現在Chem.Lettersに投稿中であり、NPTX-7の合成についても投稿準備を進めている。 最後に、本研究は科学研究費の助成により大きな成果を収めることが出来たものであり、ここに深く謝意を表する次第である。
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