1993 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04640590
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Research Institution | HOKKAIDO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
堀 浩 北海道大学, 大学院・地球環境科学研究科, 教授 (40000814)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉田 磨仁 北海道大学, 大学院・地球環境科学研究科, 助手 (40210687)
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Keywords | キイロショウジョウバエ / グルコース-6-リン酸脱水素酵素 / 動く遺伝子 / 遺伝子発現調節 / P因子 / エンハンサー / ハウスキーピング遺伝子 |
Research Abstract |
近年、我々が見出したキイロショウジョウバエのG6PD高活性突然変異では、G6PD転写領域直前に609塩基及び1154塩基よりなる欠損型P因子(コアP因子及び、KP因子)が挿入することによって、G6PD遺伝子の転写上昇が起こっている。この機構を主としてin vitro転写系を用いて明らかにした。その結果、次のような知見が得られた。1.[コアP-KP]DNAはその挿入の向き、G6PD遺伝子との距離に関らず転写を促進することから、[コアP-KP]DNAはG6PD遺伝子のエンハンサーとして働いている。2.エンハンサー領域を同定するために、様々な領域を欠失させた[コアP-KP]DNAをG6PD遺伝子上流に挿入し、転写促進の効果を調べた結果、コアP内の80bp領域とKP内の2つの領域が転写促進に関与していた。3.ゲルシフト解析により、これら3つの領域に結合する核蛋白質が存在していた。4.一方、[コアP-KP]DNAをactin 5C遺伝子上流に挿入しても転写促進は起こらなかった。この事から、G6PD遺伝子のプロモーターの一部が[コアP-KP]から成るエンハンサーと相互作用していると予想された。5.そこで、様々なG6PDプロモーター領域をactin 5C遺伝子上流につないだfusion DNAを作成し、[コアP-KP]DNAエンハンサー挿入によりこのDNAの転写が促進されるか否かを調べた結果、転写の促進にはG6PD遺伝子転写開始点周辺の20bpDNAの存在が必要であることが分かった。この領域はハウスキーピング遺伝子の発現調節に重要と考えられている配列と強いホモロジーを示す。以上の結果は、複数の動く遺伝子の組み合わせが新たな転写調節配列を作りうることを示しており、動く遺伝子が遺伝子発現に及ぼす影響は従来考えられているより多様であり、単純に動く遺伝子=selfish DNAと結論出来ない事を示唆している。
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