1992 Fiscal Year Annual Research Report
体細胞分化時のDNA放出、特に海外産メクラウナギ類の放出の分子細胞遺伝学的研究
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04640595
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
河野 晴一 東邦大学, 理学部, 教授 (70057644)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
黒尾 正樹 東邦大学, 理学部(学術振興会・特別研究員), 訪問研究員
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Keywords | Myxine glutinosa / Eptatretus stouii / Eptotretus cirrhatum / Cバンド / 構成異質染色質 / 染色体(DNA)放出 / メクラウナギ属 / 海外産 |
Research Abstract |
1.平成4年5月にMyxine glutinosa(スウェーデン)を採集し、染色体観察、DNAに関する諸実験の為の処理をした。これによって、これまでに採集したEptatretus stoutii(カナダ)とE.cirrhatum(ニュージーランド)と合わせて、日本を遠く離れた3地点よりのメクラウナギ属の3種を材料として得た。 2.M.g.、E.s.、E.c.の生殖細胞の染色体数はそれぞれ44、48、72であり、体細胞のそれは28、34、34であった。両細胞系の染色体数の差はそれぞれ16、14、38で、この数の染色体が放出されていることが判明した。 3.M.g.、E.s.、E.c.の生殖細胞と体細胞の比較DNA量を測定し、これら3種の生殖細胞DNAのそれぞれ43.5%、52.8%、48.7%が放出されていることが確認された。 4.Cバンド処理の結果、3種とも生殖細胞はCバンド陽性で体細胞は陰性であることから、放出DNAは3種とも構成異質染色質が主たる成分であることが判明した。 5.放出DNAの検索と既知のDNA配列によるin situハイブリダイゼーションについては現在進行中である。 以上の結果から、遠く北海、北太平洋、南太平洋に生息するこれらのメクラウナギ属の3種は、ともに体細胞分化時にDNAを放出していることが判明した。本邦に産する4種を加えて7種全てが20〜55%のDNA(2〜38本の染色体)を放出していることになり、メクラウナギの仲間の体細胞の分化時におけるDNA放出が明確となった。 これらの結果は、平成4年10月に松江にて開催された染色体学会第43回大会に報告し、話題となった。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] 中井 康晴, 久保田 宗一郎, 河野 晴一 ら: "ニュージーランド, カナダ西海岸, 並びにスウェーデン産メクラウナギの染色体放出" 染色体 ( La Kromosomo). II-67. (1993)