1992 Fiscal Year Annual Research Report
植物群落における構成個体のメカニズムの解析II.構成個体の受光エネルギー量および林内土壌の無機栄養分量分布とその季節変化
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04640604
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
大賀 宣彦 千葉大学, 理学部, 講師 (70009059)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉村 登雄 千葉大学, 映像隔測研究センター, 助手 (80111417)
石川 敏雄 千葉大学, 映像隔測研究センター, 教授 (70009231)
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Keywords | 積算受光エネルギー量 / PAN / DIAZO-BLUE / 構成個体の枯死原因 / 退色度 / 受光量の経年変化 |
Research Abstract |
平成3年度に引き続き200m^2の永久枠内の生育個体の積算受光エネルギー量を測定した。本年度はさらに過去に用いてきた468nmに吸収のピークをもつPAN以外に、590nmに吸収ピークをもつDIAZO-BLUEフィルムを用いて予備的な積算受光エネルギー量の測定と生育個体のない小区(50×50cm)の中央部で地表面付近の日射エネルギー量(PAN)の測定も行った。本年度春の時点で、枠内には708個体生育していたが、フィルムが装着できたのは659個体で、他は樹高が高すぎて装着できないか、葉がなく受光エネルギー量の測定から除外された昨年冬から今冬までの間の枯死数は87個体で、そのうち菌による枯死は約26%であった。その結果、生個体の積算受光エネルギー量の日平均は0.466MJ/m^2で、枯死個体のそれは0.434MJであった。この差が統計的に有意な差とはいえず昨年度まで得た結果とは必ずしも一致しなかった。それは日平均の積算エネルギー量が平成2年度が0.575(腐朽菌以外の原因での枯死)、生個体のそれは0.666と平成3年度はそれぞれ0.552と0.717MJであったのに対して本年度の値はそれらより大きく下廻った。その原因については明らかではないが、各個体の受光エネルギー量の経年変化をみると、このような年もあると考えることができる。また、地表面付近の日射エネルギー量を測定したが、生育個体の受光量のほぼ80%のエネルギーが地表面に到達していることが明らかになった。しかし、林内の日射エネルギー量の絶対量が少ないので、生育個体の成長は著しく抑えられている。予備的により長波長域に吸収のピークのあるジアゾ色素を使った実験では、2枚のフィルムを並べて装着したが、個体によって、あるいは場合によってその退色度にかなりの差があり、フィルム間の差をPANの退色度/DIAZO-BLUEの退色度の比で表わすと、0.745〜1.352の間にあった。それは林全体で考えることには多くの問題があることを意味する。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] 大賀宣彦,石川敏雄,吉林登雄,鶴岡繁: "極相林構成個体の受光エネルギー量の測定,その測定値と枯死および成長との関係(予報)" 千葉大学理学部海洋生態系研究センター年報. 12号. 75-84 (1992)