1993 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04640611
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Research Institution | OSAKA CITY UNIVERSITY |
Principal Investigator |
依田 恭二 大阪市立大学, 理学部, 教授 (80046937)
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Keywords | 森林土壌 / メタン吸収 / 温度依存性 |
Research Abstract |
筆者らのこれまでの研究で、大気中メタンが森林の林床土壌によって吸収されていることが明らかとなった。そこで、本研究では、その機構を解明するために、野外で採取した土壌を用いて、メタン吸収速度に関する各種の実験を行った。 土壌の採取は、滋賀県朽木村の落葉広葉樹二次林において、1993年10月から1994年2月にかけて行った。直径10cm,高さ20cmのステンレス製の円筒管を測定管とし、これに深さ10cmまで土壌を採取して、それをそのままメタンフラックス測定用のチャンバーとして実験に用いた。 次のような実験を行い、結果を得た。 【.encircled1.】温度:土壌をインキュベーションする温度を5℃から35℃まで1日ごとに5℃刻みで変化させ、吸収速度を測定した。11月に採取した土壌では、温度の上昇とともに0.002mgCH_4/m^2/hrに低下した。このような傾向は他の採取時期の土壌においても見られ、メタン吸収速度は25〜30℃で最大となった。 【.encircled2.】土壌の深さ:土壌の採取の深さを5cmずつ換えて採取し、メタン吸収速度の測定を行った。その結果、表層に近い0〜10cm、5〜15cmの土壌でメタン吸収速度が高かった。 【.encircled3.】殺菌実験:オートクレーブによる採取土壌の殺菌前後でメタン吸収がどう変わるかを調べた。その結果、殺菌前に0.038mgCH_4/m^2/hrの吸収速度を示していた土壌が、殺菌後には吸収しなくなった。 以上の実験により、土壌によるメタンの吸収は、生物の働きによるものであること、メタン吸収速度には温度依存性があること、メタン吸収は主に土壌の表層部で行われていることが明らかになった。
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