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1992 Fiscal Year Annual Research Report

食葉性テントウムシの集団生物学:個体群生態学の新しいアプローチ

Research Project

Project/Area Number 04640616
Research InstitutionHokkaido University

Principal Investigator

大串 隆之  北海道大学, 低温科学研究所, 助教授 (10203746)

Keywords自然選択 / 植食性昆虫 / 繁殖戦略 / 生涯適応度 / 捕食 / 集団生物学
Research Abstract

アザミを寄主植物にしているヤマトアザミテントウの繁殖スケジュールの適応的意義をコホートの生涯適応度をもとにして検討した。生涯適応度は次の4つの適応度要素からなる。(1)卵期の生存率、(2)幼中期の生存率、(3)繁殖期までの成虫生存率、(4)生涯産卵数。これらを滋賀県北西部に設置した二つの調査地(AとF)の生命表およびマーキング・データをもとにして推定した。
生涯適応度は同一個体群であってもコホート間で大きな変異が見られた。また二つの地域個体群の間でも明らかな違いが認められた。調査地Aでは生涯適応度は前期のコホートの方が後期のコホートに比べて高かった。これに対して、調査地Fでは初期と終期のコホートを除いてはむしろコホート間に有為な差は認められなかった。この生涯適応度の地域個体群間で見られた違いは、異なる季節変化を示す捕食と食物資源の劣悪化の効果によるものであった。
この結果から、調査地Aでは早い時期の繁殖が、調査地Fではむしろ繁殖の長期化が産卵個体にとって適応的であると予測される。両調査地における産卵曲線を比較したところ、この予測に合致していた。しかし、繁殖パタンの違いは調査地の他の生態的要因の影響を受けている可能性がある。そこで、実験室において同一条件のもとで産卵させ、生涯にわたる繁殖パタンを比較したところ、ここでも繁殖期間の長さに有為差があることが明らかになった。この事実は、本種の繁殖パタンが遺伝的に決められている可能性を示唆するものである。
以上の結果から、本種の繁殖スケジュールはそれぞれの生息場所において、メス成虫の生涯繁殖成功度を高めるように進化してきたものと考えられる。

  • Research Products

    (2 results)

All Other

All Publications (2 results)

  • [Publications] 大串 隆之(共著): "地球共生系とは何か" 平凡社, 262 (1992)

  • [Publications] 大串 隆之(編著): "さまざまな共生" 平凡社, 230 (1992)

URL: 

Published: 1994-03-23   Modified: 2016-04-21  

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