Research Abstract |
エンドウの若い葉の葉緑体包膜には,約130kDaのDNA結合タンパク質(PENDタンパク質)が存在することを,昨年の研究で明らかにした。これまでは,もっぱらサウスウェスタン法を用いてDNA結合蛋白質を検出してきたため,検出されたバンドが単一のポリペプチドではなく,蛋白質複合体である可能性も残っていた。PENDタンパク質結合領域のDNAをプローブとするアフィニティマトリックスを用いて,PENDタンパク質を精製したところ,まだ純粋にはなっていないが,SDS-PAGEで約120kDaのポリペプチドのバンドを,銀染色により検出することに成功した。見かけの分子量の違いは,ゲルと緩衝液の組成の違いによるものと思われるが,これにより,サウスウェスタン法でみられたバンドが単一のポリペプチドに由来するものであることがわかった。まだサンプル量が少ないため,アミノ酸配列等は決められないが,今後,大量にPEND蛋白質を精製して,アミノ酸配列の決定と抗体の調製を行う予定である。他方,PEND蛋白質結合部位DNAを用いたサウスウェスタンスクリーニングにより2個のDNA蛋白質cDNA(pd1,pd2)を取得し,この発現によって得られた蛋白質に対する抗体を用いて,ウェスタンブロットを行った。葉緑体では,それぞれ,85kDaと50kDaのバンドと反応したが,pd1抗体は,葉全体の蛋白質においても約50kDa程度の複数のバンドと反応した。pd1抗体と反応する85kDa蛋白質はキウリ子葉にもあり,サイトカイニン処理によって,この蛋白質は著しく減少した。pd1蛋白質自体は,PEND蛋白質とは異なるものと思われるが,DNAに結合して緑化を抑えていると推定され,今後,新しい展開が考えられる。
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