1993 Fiscal Year Annual Research Report
タバコrDNAスペーサー領域の構造とrRNA転写機構の解析
Project/Area Number |
04640623
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
矢倉 公隆 金沢大学, 教育学部, 助教授 (50166485)
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Keywords | rDNAスペーサー / 植物rDNA / rDNAサブリピート / rRNA転写開始点 |
Research Abstract |
本研究の平成5年度における研究計画は、前年度に引き続きタバコrDNAスペーサー領域の塩基配列の決定、及びrRNAのin vitro転写系の確立の二点についてであった。 塩基配列については、スペーサー全域(4996bp)にわたって読み取ることができた。その結果、新たに以下のことが明らかとなった。(1)転写開始点を含むと思われる、植物でよく保存された領域(以下転写開始点と呼ぶ)の下流に約120bpの配列が、20bpまたは14bpの2種類の短い配列によって区切られる形で直列に15回繰り返すいわゆるサブリピートが存在する。120bpサブリピート間の塩基配列のホモロジーは90%以上の高い値を示した。(2)転写開始点より上流約440bpに渡り、非常にA-Tに富んだ(約81%)領域が存在する。このようなA-Tリッチな領域は、同じナス科植物のトマトやジャガイモのrDNA転写開始点のすぐ上流にも見られ、特に転写開始点に近い部分での塩基配列の相同性は約100bpにわたって3者間で約80%であった。(3)上記のA-Tリッチ領域のさらに上流にもサブリピートが存在する。このサブリピートは基本的には約220bpの配列が直列に6回反復しているが、その内の3つは後半の約90〜160bpが、1つは前半約130bpが欠失した不完全な反復の形をとっている。 in vitroの転写系に関しては、今年度さらに3通りの方法で全細胞抽出液を調製し反応にかけたが、転写産物が検出できなかった。その理由として、これらの全細胞抽出液中のヌクレアーゼ活性が高いことが考えられるため、現在は核抽出液を導入することを検討している。
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