1992 Fiscal Year Annual Research Report
海藻類、特に有節さんごもの無菌二藻培養によるアレロケミカルの検索
Project/Area Number |
04640634
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
舘脇 正和 北海道大学, 理学部, 教授 (50000881)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
傅法 隆 北海道大学, 理学部, 教務職員 (70207512)
鈴木 稔 北海道大学, 理学部, 助教授 (30000855)
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Keywords | 有節さんごも / 二藻培養法 / アレロケミカル / 生長阻害 / 有用海藻 / 磯焼け / 有機スズ / 臭化化合物 |
Research Abstract |
1)石灰藻数種を単藻培養し、有用海藻(例えばミツイシコンブなど)と二藻培養することによりアレロケミカルの放出の有無を検討した。 2)有節さんごも、例えばイソキリはコンブ類の遊走子の発芽には影響しないが、雌性配偶体の成熟並びに正常な胞子体の発芽を阻害する物質を放出していることが確かめられた。 3)最近有節さんごもがウニの幼生の変態を促進するアレロケミカルとして数種類の低沸点臭化物を多量に生産することが明らかにされたが、これらの低沸点臭化物が直接有用海藻の生長に有害な影響を与える可能性が考えられるので、ジブロモメタンとブロモホルムについてコンブ類配偶体の成熟に対する影響を100ppbから10pptまでの濃度範囲で調べた。その結果、雌雄両配偶体の著しい成熟阻害は観察されなかったが、現在これらの化合物について更に詳しく胞子体の発芽に対する影響も検討中である。 4)磯焼けの形成要因として人為的な海洋汚染物質の影響も考えられることから、近年付着忌避物質として船底や養殖用の漁網に塗布され、沿岸の魚介類の汚染を引き起こした有機スズのコンブ類の初期発生に与える影響を調べた。その結果、トリフェニルスズは、20ppbで遊走子の発芽を、3ppbで雌性配偶体の成熟を、800pptで胞子体の正常な発生を抑制することが明らかにされた。 5)これらの結果は、化学物質のいろいろな阻害効果を正確に査定することにより、磯焼け現象の拡大防止を含めた海洋生態系の保全に貢献すると考えられる。
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