1992 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04640639
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Research Institution | Joetsu University of Education |
Principal Investigator |
小川 茂 上越教育大学, 学校教育学部, 助教授 (40194435)
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Keywords | 緑藻 / 多核緑藻 / マガタマモ / 核分裂 |
Research Abstract |
緑藻類は分類の困難なグループの一つである。この緑藻類の系統や類縁を探るためには、栄養細胞の細胞分裂の微細構造的特徴が重要な形質の一つであることが示され、多くの種でその記載がなされてきた。しかし、分類学的に多くの未解決の問題をもつ、多核嚢状体制をとる、いわゆる多核緑藻では、栄養細胞における核分裂の微細構造的特徴が殆ど明らかにされていない。これは、同一栄養細胞内に含まれる核が同調的に分裂する例が余り知られていないため、核分裂の全過程を電子顕微鏡的に明かにすることが困難であることによると思われる。 予備的観察から、多核緑藻ミドリゲ目に属するマガタマモ(Boergesenia forbesii)では、同一栄養細胞に含まれる核がほぼ同調的に分裂することがわかった。そこで今年度は、マガタマモを材料としてその栄養細胞における核分裂の微細構造的特徴を明かにすることを目的として研究を行った。 今年度設備備品費で購入したダイヤモンドナイフを用いて連続切片を作成し、マガタマモの核分裂の全貌をほぼ明かにすることができた。マガタマモの核分裂の微細構造的特徴は以下のようであった。1 核分裂は、核膜が核分裂期間中残存する、いわゆる閉鎖型である。2 核分裂後期の染色体の分離は非同調的に進行する。3 染色体上には動原体が明瞭に認められる。4 分裂核の両極には中心小体が位置する。5 核小体は分裂期のいずれのステージでも核内に認められる。6 分裂中期の核の極付近の核膜には、開放部は認められない。今回の観察から、マガタマモの栄養細胞における核分裂の微細構造的特徴は、ミドリゲ目とシオグサ目の数種において報告されている、生殖細胞形成期の核分裂の微細構造的特徴と著しい類似性を示すことが明らかになった。 尚、今年度の研究で得られた成果は論文として公表すべく、近く投稿を予定している。
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