1992 Fiscal Year Annual Research Report
地衣類cladia aggregataが取り込む共生藻類の多様性の解明
Project/Area Number |
04640642
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
中野 武登 広島大学, 理学部, 助手 (20033912)
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Keywords | 地衣類 / 共生藻類 / Cladia aggregata / 多様性 / 分類学 |
Research Abstract |
地衣類は、菌類と藻類の共生体である。最近、地衣類の共生菌は、必ずしも特定の一種の藻類と共生状態にあるとは限らないことを示唆した報告がある。本研究では地衣類Cladia aggregataを研究材料として用い、本種の取り込む共生藻の多様性を解明する目的で研究を進めた。 1.日本各地から採集したCladia aggregataから共生藻を分離、培養して種の分類学的検討を行い、本種が3種の共生藻(Trebouxia erici,T.glomerata,T.pyriformis)を持つことを明らかにした。 2.Cladia aggregataは、樹状の地衣類であり、これから数本の子柄を無作為に取出し、各子柄中から共生藻を分離、培養して種の分類学的検討を行なった。その結果、子柄によって1-3種の共生藻(Trebouxia erici,T.glomerata,T.pyriformis)を取り込んでいるみとが明らかになった。即ち、本地衣類では個体によって最高3種類もの共生藻を一個体中に取り込んでいることになる。この結果は、地衣類の共生藻の取り込みに多様性があるみことを明確にした最初のものである。また、この多様性は、Cladia aggregataのコロニーによって異なっていることも明らかになった。 3.Cladia aggregataの組織培養を行なった。通常の破地を用いて組織培養を行なうと、本種では藻類の増殖が菌類より旺盛で、カルスは形成されるものの、本研究者が期待していたものとはやや異なっていた。現在、培地の条件を検討して正常なカルスを形成させるべく研究を進めている。地衣類の組織培養には長時間を要するため、次年度更に研究を続行する。 4.Cladia aggregataから共生菌と共生藻をそれぞれ分離して、培養保存した。これらの株は、次年度で再合成に使用し、共生菌の共生藻取り込みの多様性の解析に使用する。
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