1992 Fiscal Year Annual Research Report
緑色渦鞭毛藻の葉緑体の構造と系統に関する形態学的・分子生物学的研究
Project/Area Number |
04640645
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Research Institution | National Institute for Environmental Studies |
Principal Investigator |
渡辺 信 国立環境研究所, 生物圏環境部, 室長 (10132870)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井上 勲 筑波大学, 生物, 助教授 (70168433)
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Keywords | 緑色渦鞭毛藻 / Lepidodiniun viride / 葉緑体 / DNA / ヌクレオモルフ / プライマー |
Research Abstract |
L.virideの良好な増殖をえるための培養条件の検討を行った。その結果、温度20℃、照度4,000lx、16h8hの明暗サイクルの温度・照度条件が最も良好な増殖を示すことが判明した。また有機物として、グリシルグリシン、酢酸ナトリウム及びグルコースの添加が本種の増殖を促進することがわかった。 L.virideの葉緑体は、培養初期には網目状で、1個であるが、培養齢が進むにつれて、断片化し、古くなると多数の球形の葉緑体となる。それを再び新鮮な培地に植え継ぐと再び網目状となることがわかった。このような現象はミドリムシの葉緑体にも観察されており、ミドリムシと同様に、本種の葉緑体は共生藻由来の特徴を示すことがわかった。 L.virideの葉緑体、即ち共生藻起源とみなされる葉緑体を、DAPI 染色を行い、螢光顕微鏡観察したところ、ヌクレオモルフの存在を推測させるようなDNAの集合部位が観察された。免疫的手法を使い電子顕微鏡でその実体を観察したところ、いくつかの孔を有する二重膜に包まれた核様体構造が確認された。この構造は、共生藻体ー即ちホストの渦鞭毛藻の細胞質と二重膜で区分されている構造体ーの中の細胞質部分にいくつか散在しており、共生藻が多核ではなかったかの問題を呈示している。 葉緑体の系統を分子生物学的に明らかにするために、5SrRNA 16SrRNA、ルビスコ等のプライマーの検討を行っているが、現時点ではクラミドモナス由来の16sRNAのプライマーが、最も適切であることがわかった。
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