1993 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04640647
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
鈴木 教世 北海道大学, 理学部, 助教授 (10001851)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長山 俊樹 北海道大学, 理学部, 助教授 (80218031)
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Keywords | 嗅覚 / 嗅覚トランスダクション / IP_3 / 嗅細胞 / セカンドメッセンジャー / イオンチャンネル / パッチクランプ / 細胞内伝達機構 |
Research Abstract |
脊椎動物嗅覚トランスダクションがcAMP-経路ばかりでなくIP_3-経路も加えた複数経路によりなされるかどうかを明らかにすることを目的として、両棲類動物カエル及び哺乳類動物ラット、マウスを材料とし、それらの嗅細胞膜に分布するIP_3-感受性イオンチャンネル(以後IP_3-チャンネル)の諸特性 1)IP_3応答の潜時 2)嗅細胞各部の膜での分布 3)順応現象 4)嗅細胞間のでの分布などをcAMP-感受性イオンチャンネル(以後cAMP-チャンネル)の特性と比較しながらパッチクランプ法により調べ、IP_3-経路の脊椎動物嗅覚トランスダクションにおける役割を検討した。その結果以下の諸点が明らかになった。 1)IP_3-チャンネルのIP_3に対する応答潜時は、cAMP-チャンネルのそれと同様に十分短く(IP_3-チャンネル24msec、cAMP-チャンネル5msec)、cAMP-チャンネルと同様に原形質膜に存在し、IP_3が直接、膜の内側から作用し、開口させられる。 2)IP_3-チャンネルの嗅細胞膜での分布密度は、cAMP-チャンネルの分布密度よりも低くかったが、嗅受容部位である嗅細胞先端膜での分布密度は他の部位におけるよりも高かった。 3)IP_3-チャンネルの中には、cAMP-チャンネルには見られない順応現象を示すものが発見された。 4)ラット嗅細胞では、IP_3-チャンネルが分布する嗅細胞は、cAMP-チャンネルが分布する嗅細胞より少ない。以上の結果から、IP_3-チャンネルは、cAMP-チャンネルと同様に、嗅覚トランスダクションチャンネルとして動作し得る事が明らかになり、脊椎動物嗅覚のトランスダクションは、cAMP-経路ばかりでなくIP_3-経路の複数経路によりなされることが実証された。しかし、IP_3-、cAMP-経路の両方が、ある脊椎動物種の全ての嗅細胞に共存するのではなく、それぞれの経路は別々の嗅細胞に付与されていること、又cAMP-、IP_3-経路のいずれがその動物で優位であるかは、脊椎動物種間で異なるものと推定された。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Suzuki,N.: "IP_3-activated ion channel activity in frog olfactory receptor cell membrane." Chem.Sens.17. 87-88 (1992)
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[Publications] 鈴木教世: "IP_3-感受性イオンチャンネルのカエル嗅覚トランスダクションにおける役割" Proc.Jap.Symp.Taste & Smell. 26. 221-224 (1992)
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[Publications] Suzuki,N.: "The role of IP_3-activated ion channels in frog olfactory transduction." Chem.Sens.18. 339 (1993)
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[Publications] Nagayama,T.: "Physiology and morphology of spiking local interneurons in the terminal abdominal ganglion of the crayfish." J.Comp.Neurol.337. 584-599 (1993)
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[Publications] Nagayama,T.: "The organization of exteroceptive information from the uropod to ascending interneurones of the crayfish." J.Comp.Physiol.A. 172. 281-294 (1993)
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[Publications] Suzuki,N.: "IP_3-activated ion channel activities in olfactory receptor neurons from different vertebrate species." Olfaction & Taste. 11. 173-177 (1994)