1992 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04640649
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
清水 隆 北海道大学, 理学部, 助教授 (50113569)
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Keywords | 不等卵割 / 中心体 / 単極紡錘体 / 母性成分 |
Research Abstract |
イトミミズ第一卵割は不等割である。この不等性をもたらす要因を明らかにする目的で、分裂装置形成過程および中心体(centrosome)の起源について調べた。分裂装置は卵の中央で形成され、紡錘体はその一方の極にのみ星状体を備え、他方には見いだされない。分裂の進行とともに星状体は紡錘体領域を除く卵全体に放射状に広がり卵表まで到達している。この星糸の分布する領域としない領域との境界がちょうど卵割溝形成部位と一致する。同様の非対称的紡錘体構造は、卵を細長く変形してもつくり出され、分裂も不等割となる。中心体の動態を調べると、第二極体放出後、第一卵割周期の間、核とともに行動する中心体はただ1個である。即ち、他の動物の場合とは異なり、第二極体放出後、卵内で中心体が複製されるようには見えない。おそらく、正常な分裂装置形成にはただ1個の中心体が関与し、星状体はこの中心体から形成されるものと考えられる。この中心体が卵、精子のいずれから由来するのかを明らかにするために、人工付活した卵あるいは第一、第二極体放出を抑えた卵での中心体数を調べたところ、第一極体を放出したものではすべて各卵に1個の中心体が見い出された。第一極体放出が抑えられた場合(第二極体放出も抑えられる)にのみ中心体は2個見い出され、第一卵割紡錘体は両極に星状体を備えていた。しかもこの場合の分裂は等割になる。また、付活した未受精卵が正常に成熟分裂を経た場合には正常卵と同様の両極非対称紡錘体を形成し、不等分裂を行なう。以上のことは卵由来の中心体が第一卵割の星状体を形成する能力をもっていることを示しており、正常過程で第二極体放出時に卵に残る(即ち卵由来の)中心体が第一卵割の分裂装置形成に関わる可能性を示唆する。
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