1992 Fiscal Year Annual Research Report
カイコにおける発生段階ならびに性特異的遺伝子発現機構の解析
Project/Area Number |
04640665
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
富野 士良 東京都立大学, 理学部, 教授 (30101075)
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Keywords | カイコ / 脂肪体 / 遺伝子 / 核抽出液 / 無細胞転写 |
Research Abstract |
カイコ後期発生過程における遺伝子転写の制御機構を解明するため、カイコ幼虫脂肪体より無細胞転写系を確立し、この系においてクローン化遺伝子の転写を試みた。 遺伝子転写の鋳型DNAを作成するため、カイコ主要体液タンパク質(SP1,SP2,30Kタンパク質,ビテロゲニン)、主要上皮タンパク質(LCP,PCP)の各遺伝子ならびにアデノウイルス主要後期遺伝子DNAより転写開始点上流域をプラスミド・ベクターに連結し増殖させた。 次に、脂胞体細胞より効率よく核を分離。精製するため、細胞破砕法を改良した。カイコ脂肪体組織の外部表層は結合組織状の膜構造で覆われているため、通常のホモゲナイズ法で細胞を均一に破砕することは極めて困難であったが、幼虫より摘出後、脂肪体を0.2%NP40を含む低調液中に0℃、10分間保存し細胞を膨潤させたのちホモゲナイズすると脂肪体は完全に破砕され、効率よく核が遊離されることが判明した。この方法で調製した核を高調硫安溶液で抽出し脂肪体核抽出液を調製した。この抽出液は、-80℃で凍結保存する限りRNAポリメラーゼ活性を少なくとも3箇月は安定に保持することが判明した。 クローン化SP1遺伝子を鋳型として核抽出液中にて無細胞転写反応を行い、SIヌクレアーゼ・マッピング法により転写産物を定量し、反応系における各種パラメーターについて解析した。その結果、反応の最適温度は20℃、至適pHは7.9、カリウム,マグネシウムの最適濃度は、それぞれ60mM,4mMであった。この核抽出液は、SP2,30Kタンパン質,ビテロゲニン等の遺伝子を効率よく転写した。核抽出液の濃度の高い条件では系の鋳型選択性がみられ、SP1遺伝子はアデノウイルス遺伝子より高率で転写された。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Sakurai,H: "Interaction of nuclear proteins with conserved nucleotide sequence within the promoter regions of storage protein genes of Bombyx mori" Biochim.Biophys.Acta.
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[Publications] Sakurai,H: "An invitro Transcription system from BmN cells of the silkworm,Bombyx mori" Methods Mol.Biol.