1993 Fiscal Year Annual Research Report
カイコにおける発生段階ならびに性特異的遺伝子発現機構の解析
Project/Area Number |
04640665
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
富野 士良 東京都立大学, 理学部, 教授 (30101075)
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Keywords | カイコ / 脂肪体 / 遺伝子 / 核抽出液 / 転写 / DNA結合タンパク質 / 性特異性 / 組織特異性 |
Research Abstract |
カイコSPI遺伝子の転写制御領域に結合する脂肪体核内因子について解析した。 SP1遺伝子の5′上流1.4kbの領域より各種DNA断片を調製し、これらと4齢幼虫、5齢幼虫、蛹の各脂肪体核抽出液との相互作用についてゲルシフト法で解析したところ、各発生段階の脂肪体核には特異的なDNA結合因子が複数存在することが示唆された。SP1遺伝子の上流域にはSP2遺伝子と上流域と17塩基が完全に一致する配列が存在する。この領域をプローブとしてゲルシフト解析を行った結果、幼虫および蛹脂肪体の核中にはこの領域のDNA配列と特異的に結合する因子が検出されたが、これら因子は後部絹糸腺およびカイコ培養細胞中には検出されなかった。この結果はDNaseフットプリント解析でも確認されたことから、両遺伝子上流の17塩基配列は脂肪体組織特異的な転写制御のシス領域であることが推察された。 脂肪体核抽出液とSP1遺伝子上流域との複合体形成を雌雄について比較してみると-764から+16の範囲には雌あるいは雄の核抽出液と特異的に結合する領域が複数検出された。このうち、-108-+16の領域は4齢雌雄および5齢雌の脂肪体核内因子と特異的複合体を形成したが、5齢雄の核抽出液とはその形成がみられなかった。5齢雌の核抽出液をDNAセルローズクロマトグラフィーで分画したところ、0.2M NaCl溶出画分にこのDNA結合因子が部分精製されていることが確認された。この因子は5齢雄の核抽出液の画分には検出されないことから、SP1遺伝子の雌特異的転写に関与していることが推察された。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Sakurai,H.: "An in vitro Tanscription system from BmN cells of the silkworm Bombyx mori" Methods MoL.Biol.(in press).
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[Publications] Yano,K.: "Stractuve and expression of mRNA for vitelloginin in Bombyx mori" Biochim.Bioghys.Acta. (in press).
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[Publications] Nakato,H.: "Structure and developmental expression of a larval cuticle protein gene of the silkworm,Bombyx mori" Biochim.Bioghys.Acta. (in press).