1993 Fiscal Year Annual Research Report
染色体の複屈折性を指標とした渦鞭毛虫類の系譜の検討。ヒストンは何時取込まれたか?
Project/Area Number |
04640676
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Research Institution | Nagano University |
Principal Investigator |
佐藤 英美 長野大学, 産業社会学部, 教授 (40109260)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 宏一 名古屋市立大学, 教養部, 教授 (30080287)
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Keywords | 渦鞭毛虫 / ヒストレ遺伝子 / 染色体 / 複屈折性 |
Research Abstract |
渦鞭毛虫類は染色体の複屈折性を指標にとると3群に大別される。そのうち強複屈折性第1群のGyrodinium類の培養を試みたが成功せず、第2群のヤコウチュウ(Noctiluca scintillans)と第3群のハダカフタヒゲムシ(Oxyrrhis marina)は培養できた。ハダカフタヒゲムシを大腸菌を餌に大量培養し、核を分離して分裂間期の核内に多糸性の染色体が存在すること、各染色性の端末は核膜孔に接していることを確かめた。核分裂期には、染色体は赤道部分に配列し、2群に分かれて両極に移動するが、典型的な核板は形成されない。しかし核内核分裂を行う時に両極を結ぶ微小管は、チュブリン抗体蛍光染色法と電子顕微鏡像から存在が確かめられたが、動原体は確認できなかった。この分裂パターンは3群に共通する。 培養細胞の核を分離分画し、高塩基性タンパク質を抽出して、SDS-PAGEで分析したところ、Oxyrrhisでもヒストンは存在せず、未知の高塩基性タンパク質が存在することが明らかになった。このタンパク質の性質および機能について検討をすすめており、かなりのデータがえられたので、現在第1報および第2報を論文として書きすすめている。また、この塩基性タンパク質の抗体作りを継続しており、これを用いてヒストン遺伝子の釣りだしを試みようとしている。 渦鞭毛虫類の核には明瞭にヌクレオソーム様の構造とクロマチン形成が認められる。だがヒストンが無いということは、ヒストン遺伝子が不活性化され、代りに他の塩基性タンパク質によってとって代られたと考えられる。私達は、この研究を続けるつもりでいる。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] 佐藤,英美: "染色体と複屈折(Chromosomes and Birefringence)" 長野大学紀要. 14. 100-112 (1992)
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[Publications] Kosaku Izutsu & Hidemi Sato: "Rapid backward movement of anaphase chromosomes whose kinotochore fibers were cut by U.V.microbeam irrad." Biology of the Cell. 76. 339-350 (1992)
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[Publications] Hidemi Sato: "The role and regulatoey function of spidle microtubules and associated macromolecules in mitosis." Second International Cell Motility Symposium. (1992)
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[Publications] Hidemi Sato: "Centrosomes and Kinotochore microtubules regulate chromosome segregation." 5th International Congress on Cell Biology Workshop-22(Invited speaker). 237 (1992)
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[Publications] K.Kato,A.Moriyama & H.Sato: "Morphological and biochemical studies on the chromosomes of Oxyrrhis." Zoological Science. 10. 147 (1993)
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[Publications] Hidemi Sato: "Interpretations on the molecular mechanism of mitosis;Facts,Models and Working Hypothesis." Cell Structure and Function. 18. ? (1993)
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[Publications] 佐藤,英美ほか: "細胞生物学(印刷教材)" (財)放送大学教育振興会, 235 (1994)
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[Publications] 佐藤,英美ほか: "専門科目 細胞生物学(放送教材)VTR15巻(各45分)" 放送大学, (1994)