1993 Fiscal Year Annual Research Report
昆虫の湿度・温度情報処理における異種感覚情報との統合に関する生理学・形態学的研究
Project/Area Number |
04640678
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
横張 文男 福岡大学, 理学部, 教授 (20117287)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西川 道子 福岡大学, 理学部, 助手 (30078563)
伊東 綱男 福岡大学, 理学部, 講師 (40131809)
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Keywords | 昆虫 / 湿度受容 / 温度受容 / 介在神経繊維 / 糸球体 / ワモンゴキブリ / 電気生理学 / 細胞内染色 |
Research Abstract |
我々は、従来から、昆虫の個体の生存にとって湿度と温度の情報は、食物に関する情報と同様に、生死に係わる重要な情報と位置付けて、昆虫の湿度感覚と温度感覚を中心課題に据えて研究してきた。すでに湿度受容器の初期過程、温度受容器の応答特性、および嗅受容器の応答スペクトルなどを明らかにしている。また、ワモンゴキブリとミツバチを用いて中大脳触角葉での温度と湿度の情報処理について調べ、それぞれの情報処理に係わる介在神経繊維の湿度および温度刺激に対する応答とその神経繊維のおおよその形態も明らかにしている。湿度および温度情報が中大脳触角葉で異種感覚情報と統合される場を明らかにするために、ワモンゴキブリを用いて湿度および温度受容細胞の軸索が終末する糸球体を同定した。触角には湿度・温度受容感覚子と温度・嗅受容感覚子があるので、それぞれの感覚子からコバルトリジン等の染色剤を受容細胞に取り込ませてそれぞれの軸索を細胞内染色をしてみたところ、湿度・温度受容感覚子から染色した軸索の1本と温度・嗅受容感覚子から染色した軸索の1本が背葉に近い糸球体に終末していた。湿度・温度受容感覚子から染色した軸索のうち他の2本がその近傍の糸球体に終末していた。湿度・温度受容感覚子には湿・乾の湿度受容細胞と冷(温度)受容細胞と機能不明の細胞が1つあり、温度・嗅受容感覚子には温度(冷)受容細胞と2、3個の嗅受容細胞があること、この方法で同時に染色される他の受容細胞の軸索の終末はいずれの糸球体にも収れんしないこと等から、温度受容細胞および湿度受容細胞の軸索は背葉に隣接する特定の糸球体に終末していると結論した。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] Nishikawa,M,Ishibashi,T.,&Yokohari,F(西川,道子): "Central projection of the atnennal cold receptor axon of the cockroach." Olfaction and Taste XI(eds.Kurihara et al.)Springer-Verlag. 印刷中. (1994)
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[Publications] Blaustein,D.N.et al.(Blaustein,D.N.): "Ultrastrucutural localization of 5′AMP odorant receptor sites on the dendrites of olfactory receptor neurons of the spiny lobster." Neuroscience. 印刷中. (1994)
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[Publications] 谷村,禎一・横張,文男・(谷村,禎一): "ショウジョウバエの化学感覚情報変換機構の遺伝的解析" 日本動物学会第64回大会予稿集. 72-72 (1993)
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[Publications] 西川,道子・横張,文男・石橋,貴昭・(西川,道子): "ゴキブリ中大脳における触角冷受容器軸索と終末糸球体の同定" 日本動物学会第64回大会予稿集. 95-95 (1993)
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[Publications] 高橋,俊雄・他・(高橋,俊雄): "アピシン:ミツバチから単離した新規の生理活性ペプチド" 日本動物学会第64回大会予稿集. 73-73 (1993)
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[Publications] 横張,文男: "昆虫の脳を探る(分担:触角の感覚受容と情報伝達)" 共立出版,印刷中, (1994)
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[Publications] 富永,佳也・伊東綱男・(富永,佳也): "昆虫の脳を探る(分担:脳を構築するニューロパイル)" 共立出版,印刷中, (1994)