1994 Fiscal Year Annual Research Report
カエル神経筋接合部での伝達物質放出の調節に及ぼす各種因子の研究
Project/Area Number |
04640679
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Research Institution | Daiichi Hoiku Junior College |
Principal Investigator |
田辺 憲子 第一保育短期大学, 幼児教育科, 助教授 (00201624)
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Keywords | 神経伝達物質 / マグネシウム / カルシウム / オウグメンテーション / ポテンシエイション / 促通 |
Research Abstract |
カエルの神経筋接合部での神経連続刺激後の伝達物質放出は,4つの因子(fast and slow facilitation,augmentation and potentiation)によって調節されている.一昨年この4つの因子に対してMgイオンがいかなる影響を与えるかを調べたが,本年度もそれに引き続きMgイオンの影響について等張の条件に変えて詳しく調べた.その結果,Caイオン非存在下で,Mgイオンの濃度をあげていくと,potentiationの大きさはだんだんと大きくなることが100Hz・5000回連続刺激した後のMEPPの頻度の実験から明らかとなった.一方augmentationはMgイオン濃度とともにその大きさは減少した.そしてこの傾向はリンガー液中からMgイオンを除いても同様の傾向が見られた.すなわち,CaイオンとMgイオンどちらでもない条件のもとで,MEPPの頻度は2価イオン存在下よりも速い立ち上がり速度で上昇した.これはaugmentationが大きくなったものと思われる.しかし十数秒後頻度は急激に減少しもとのレベルまで戻った.この急激に減少する原因については不明である.そこでもう少しマイルドな条件で実験を行った.すなわち100Hz・5000回の連続刺激を20Hz・450回連続刺激の条件に変え,EPPの大きさとMEPPの頻度を調べた.その結果この条件ではpotentiationの大きさには顕著な差は見られなかったが,augmentationは100Hz・5000回連続刺激と同様な結果が得られた.slow facilitationに対してはMgイオンは影響を与えなかった.換言すると,Mgイオンはslow facilitaionには影響を与えないが,augmentationに対しては抑制的に,potentiationに対しては促進的に働くことがわかった.
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[Publications] 田辺憲子: "いくつかのカルシウムキレート剤のカエル終板に対するキレート効果の比較" 第一保育短期大学研究紀要. 11. 29-36 (1994)
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[Publications] N.Tanabe et.al.: "Effects of Mg^<21> on the Stimulation-induced change of transmitter release at the frog neuromusculay junction" Zoological Science. 12(in pres). (1995)