1993 Fiscal Year Annual Research Report
フイ ッシヨン・トラック年代測定における中性子照射条件の照射場間比較
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04640709
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Research Institution | Faculty of Education, Kagoshima University |
Principal Investigator |
鈴木 達郎 鹿児島大学, 教育学部, 助教授 (70136828)
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Keywords | フイッシヨン・トラック年代測定 / 研究用原子炉 / 原子炉中性子 / 中性子ドシメトリー / 年代標準試料 / 標準ガラス / U-235の核分裂反応率 / 標準化 |
Research Abstract |
フイ ッシヨ ン・トラック年代測定においては、ウランの現在量をU-235の誘導核分裂片トラツクを計数して規格化しているので、原子炉の熱中性子照射場の特性についての基礎データが不可欠である。このとき照射場の特性として表される放射化モニターで得られた中性子束値なとのみの公称値だけでは不十分で、照射場の原子炉中性子のエネルギースペクトルも必要である。一般の照射に用いられる照射場に関するデータは従来充分ではなかったので、現在一般利用可能な日本原子力研究所のJRR-2・JRR-4・JRR-3Mおよび立教大学原子力研究所のTRIGA Mark IIのそれぞれの照射設備について、Au・Cu・Co・Lu・In・Al・Niなどをモニターとして、繰り返して比較検討してきた。その結果それらの照射場の特性をとくに熱中性子のエネルギースペクトルクとして把握し、それぞれの照射場におけるトラックの生成率としての核分裂反応率の相違を明かにすることができた。 現在までに得られた照射場のデータをもとに他の研究炉、京大炉や海外の研究炉の文献値を検討した。またBNLはじめ他の国際的機関によってコンパイルされている核データフア イルであるENDF/B-VI、またこれをもとに放射化反応を中心にIAEAによってコンパイルされた核データフア イルIRDF-90を用いてそれらの照射場のU-235・U-238・Th-232の核分裂反応率を求める計算プログラムを作成し、普通に用いられる標準ガラスのウラン・トリウム含有量や、試料として想定されるウラン/トリウム比などを考慮してその核分裂反応率比を求めて比較検討した。 これらのことでフイ ッシヨン・トラック年代測定値の標準化における照射場の特性についての検討はひとまず終了したと言える。今後はさらに海外の研究用原子炉をも含めて多数の厳選された照射場間での年代標準試料などの年代測定結果の比較検討を通して国際的な年代測定の標準化に寄与する必要がある。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] 鈴木達郎: "国内研究用原子炉の照射場の特性" Radioisotopes. 43. 45-47 (1994)
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[Publications] 鈴木達郎: "屋久島花崗岩体の冷却史(予報)" 鹿児島大学南西地域研究資料センター報告特別号. No.5. 1-4 (1994)
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[Publications] 鈴木達郎: "鹿児島県産黒曜石の放射化分析" 鹿児島大学教育学部紀要(自然科学). 44. 11-16 (1993)
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[Publications] 鈴木達郎: "桜島火山有史期噴出溶岩のガンマ線スペクトロメトリー" 石川秀雄教授退官記念誌. 45-49 (1993)
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[Publications] 鈴木達郎: "フイ ッシヨン・トラック年代測定における原子炉中性子のドシメトリーに関する問題点" 放射線. 18. 16-24 (1992)