1992 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04640726
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
松枝 大治 北海道大学, 理学部, 助教授 (20108921)
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Keywords | 黒鉱鉱床 / 海底熱水鉱床 / 鉱物組織 / 結晶成長 / 閃亜鉛鉱 / 画像解析 / 化学組成 / 再結晶作用 |
Research Abstract |
本研究は、地質時代に生成した黒鉱鉱床と現成の海底熱水鉱床の酷似する生成過程・成因に注目し、両者の鉱石中に見られる鉱物組織の比較検討を行う事を目的としている。本年度は、主に各種黒鉱鉱石の鉱物組織の観察とその系統的分類を実施し、特に普遍的に産する閃亜鉛鉱の組織と組成の対応関係の検討及び空間的分布の追跡を試みた。その結果,黒鉱鉱石中の閃亜鉛鉱の成長組織は,(1)細粒・球状組織,(2)樹枝状組織,(3)粗粒状組織に分類され、さらに(1)はa)細粒状,b)コロフォーム状,C)球果状,(3)はa)自形〜半自形状、b)再結晶,c)セクター状に細分され,それぞれ組織変化に対応した明瞭な組成変動(Cu,Cd,Mn)が認められた。また,松峰鉱山上位黒鉱鉱床では,3タイプの鉱石が区分され,それらの空間分布と組成変動に一定の規則的な傾向がある事を明らかにし,黒鉱生成後の続成過程に起因する組織変化の重要性を見い出した。 海底熱水鉱床産鉱石との予察的な比較検討を行うために,東太平洋海膨(EPR13°N)のものについて,鏡下における組織観察を行った結果,後述のいくつかの類似点・相違点が認められた。類似点:高過飽和度溶液からの閃亜鉛鉱の成長組織(コロフォーム,樹技状,セクター状組織等)が認められ,黄銅鉱病変を伴う。相違点:海底熱水鉱床産鉱石中に普遍的にみられるウルツ鉱・磁硫鉄鉱・キューバ鉱が黒鉱鉱石中にはほとんど認められず,方鉛鉱・四面銅鉱・含Ag鉱物も著しく少ない。また,黒鉱鉱石に見られる再結晶組織が海底熱水鉱床産鉱石には殆んど認められない。 海底熱水鉱床産鉱石については検討試料数も少なく,今後さらに試料の追加検討を行い,粒度分析・組成の不均質性と累帯構造・結晶成長組織の解析を各種分析機器と画像解析の手法を導入して実施する予定である。
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