1992 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04640737
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
前川 寛和 神戸大学, 理学部, 助教授 (50173696)
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Keywords | 三波川変成帯 / ストレッチングリニエーション / 神居古潭変成帯 / 運動学的解析 |
Research Abstract |
神居古潭帯中部、幌加内地域から美瑛地域にかけて、20日間の野外調査を行い、変成岩類の変形組織の解析、特に変成岩の線構造(鉱物およびストレッチング・リニエーション)と面構造を測定し、岩石の定方向サンプリングを行った。神居古潭帯の主要な地域で予定通りデーターをとることができた。研究室に持ち帰った線構造のデータを解析したところ、線構造に関して北北東-南南西の著しい卓越方向が認められた。この方向は概ね変成帯の伸長方向に一致しており、その点では三波川帯と同じ傾向があることがわかった。ただ、一部の地域に線方向がこの卓越方向から大きく外れる部分があり、それが後生的な褶曲によるのか、線方向形成のメカニズムそのものに原因があるのかは不明である。したがって、三波川帯と比較する上で、この新たに生じた問題点を究明することがきわめて重要である。一方、三波川帯では、徳島県と和歌山県で約10日間の調査を行った。変成岩類の線方向は、従来から指摘されている東西方向の強い集中が認められた。室内での電子顕微鏡による線方向の観察から、線構造を形成する藍閃石のプルアパートを充填する黒雲母を発見した。この産状は、温度の上昇過程で線構造が形成されたことを示している。線構造のさらに厳密な形成時期の解析は、三波川変成帯および神居古潭変成帯の温度-圧力-時間履歴を解明する上できわめて重要である。 以上の観点から、神居古潭帯と三波川帯(紀伊半島と四国)における補足的な野外調査を含めた研究を続行し、二つのタイプの変成帯のI)変形作用の性質、II)線構造形成の主要因と時期、III)線構造形成にプレート運動が与える影響、IV)線構造の向きとプレート運動との対応関係を検討・考察し、低温高圧型変成帯の形成の『運動像』を明らかにして行きたい。
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