1992 Fiscal Year Annual Research Report
カソードルミネッセンスによる混晶半導体薄膜のバンドギャップの揺らぎの評価
Project/Area Number |
04650002
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
関口 隆史 東北大学, 金属材料研究所, 助手 (00179334)
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Keywords | カソードルミネッセンス / 混晶半導体 / バンドギャップ / 格子歪 / ヘテロ構造 / GaAs / Si / InGaAs / 準安定状態 |
Research Abstract |
本研究の目的は、ヘテロエピタキシャル成長させたIII-V化合物半導体薄膜の局所的な物性を、カソードルミネッセンス(CL)法を用いて評価することにある。具体的には、薄膜の組成比(△x)と残留歪量(△l)の不均一性がバンド構造にもたらす効果をCLスペクトルを用いて調べる。今年度の課題であった(1)低温での評価に関しては、冷却系の改造により試料温度を11Kまで下げられるようになった。これにより、CLスペクトルの構造がより詳細にフィットできるようになった。また、(2)スペクトルの励起強度依存性が問題となり、この不確かさを避けるため、電子ビームの励起電流量をモニターするプローバーを整備した。研究結果は、まずGaAs/Si系で、歪量の定量を行ないCLピークのシフト量と局所歪の関係を求めた。ラマン測定との対比よりCLピークのシフト量は、高感度の歪検出の手段となっていることが確認された。これを使って、ミスフィット転位における歪量を見積った。解析はまだ静水圧の近似であるが、(3)偏光子の取付けにより偏光の情報もとれるようになってきた。1次元ないしは2次元の歪の解析は次年度の課題とする。また、InGaAs/InP系薄膜の評価を始め、組成のずれとスペクトルの関係を調べた。評価した薄膜では局所的な組成の変動はみあたらず、CLスペクトルの変化は主に欠陥の分布を反映しているだけであった。そこで、低温液相成長法で4元系のInGaAsP-InPを作成し、相分離が生じていると見なせる試料について、△xと△lを分離して評価することを試みたが、観察場所も変えてもスペクトルのピーク位置の変化ははっきりと観察できなかった。この原因は、薄膜それ自体に固有の性質とも考えられるため、試料作成条件を変えて、研究を継続している。さらに、この試料で準安定状態を持つと考えられる発光性の欠陥を発見し、欠陥の安定性を調べた。
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