1992 Fiscal Year Annual Research Report
チタニルフタロシアニンの時間分解蛍光測定による電荷発生機構の解明
Project/Area Number |
04650006
|
Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
北村 孝司 千葉大学, 工学部, 助教授 (20009541)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小門 宏 千葉大学, 工学部, 教授 (40016358)
|
Keywords | 蛍光スペクトル / 蛍光時間分解 / チタニルフタロシアニン / X線無金属フタロシアニン / 電荷キャリア生成 |
Research Abstract |
本年度の計画は、有機光導電材料として知られているフタロシアニンの蛍光の時間分解測定を行うフォトンカウンティング装置の設置および調整である。設備の中心となるフォトンカウンティング用シグナルプロセッサは本年度の本補助金により設備した。さらに、光電子増倍管、プリアンプ、冷却器、電源、制御用コンピュータを購入して設備した。試料の固定装置、光学系および光源、外部からの光を遮断するダークボックスを作成し迷光の問題を解決した。そして、計画の第1番目である、チタニルフタロシアニンの測定を開始した。試料の作成は、超音波分散にて顔料と樹脂、溶剤を混合し、さらにワイヤーバーにて薄膜にした。試料の形態でX線回折を測定し、原料の結晶形であるα型が保存されていることを確認した。その後、チタニルフタロシアニン(α型結晶、TiOPc)およびX型無金属フタロシアニン(X-H2Pc)の蛍光スペクトルおよび蛍光時間分解の測定を行った。α-TiOPcは870nmに、X-H2Pcは810、860nmに発光ピークが観測された。また、α-TiOPcの発光強度はX-H2Pcに比較して約1/10であり、蛍光発光以外のエネルギー失活が多いことがわかった。蛍光時間分解測定では、両試料とも数百マイクロ秒のオーダーで減衰していることがわかり、大きな差は認められなかった。しかし、この結果についてはさらに検討が必要と考えている。今後、蛍光に関する実験結果と電荷キャリア生成効率との関係について検討する予定である。これらの結果は、第40回応用物理学関係連合講演会にて発表の予定である。
|