1992 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04650017
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
森川 浩志 名古屋工業大学, 工学部, 助教授 (90024314)
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Keywords | 電界イオン顕微鏡 / 真空蒸着 / 薄膜成長 / エピタクシー / タングステン / 銅薄膜 |
Research Abstract |
本研究の目的は,真空蒸着膜の成長過程での表面構造の変化を原子オーダーで直接観察すること,及び,下地表面に入射する原子の持っている運動エネルギーの膜成長に及ぼす影響を明らかにすることである.そのためには,1.FIM中で"その場"蒸着するための蒸発源の製作,2.結像電圧をパルス的に印加できる電源の製作,3.像の動的変化を記録するためのビデオシステムの開発,が必要である.1.の蒸発原の開発は,FIMとしては不可欠のチャネルプレートの保護等の厳しい条件のため難航したが,超高真空条件で銅が蒸着できるものが完成した.2.のパルス電源はコンピューターで制御できるシステムが完成し,さらに3.のビデオシステムも本研究費でコンピューター制御のできるビデオレコーダーを購入しその制御ソフトもほぼ出来上がった. 一方,蒸着された薄膜を電界蒸発によりその立体構造を観察する従来通りの方法で,われわれのこれまでに観察したBCC金属である鉄,クロムの蒸着に続いて,本課題の目的のひとつに掲げたFCC金属の蒸着膜の観察を進めた.まず融点が鉄と近いニッケルの蒸着から始めたが蒸発原に多くの問題が発生しまだ充分な結果は得られていない.しかし,銅の蒸着については成功し,次のような結果を得,春の応用物理学会で発表する.1.約50Kまたは約400Kのティップ上へ蒸着すると界面1〜2層は疑似的構造(pseudomorphism)をとる.2.その上には50K,400K両温度の場合ともに微細な島状結晶が見られた.ただし,50Kの場合には島状結晶の間には非晶質と考えられる相が存在し,400Kの場合にはそこには固相が存在しない様でありStranski‐Krastanov型の成長を伺わせるがまだ断定できるには至っていない. 以上,実験装置の準備はほぼ完成しFCC金属の蒸着結果も出始めた.次年度は,ニッケルを含めたFCC金属と,できればさらにHCP金属の蒸着へと進む予定である.また,動的な蒸着膜成長過程のビデオ記録へと進める予定である.
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