1992 Fiscal Year Annual Research Report
ファラデー効果を用いた飽和吸収分光法による半導体レーザの波長安定化と波長制御
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04650036
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
佐藤 孝 新潟大学, 工学部, 助教授 (10143752)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
榛葉 實 東京電機大学, 工学部, 教授 (30162803)
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Keywords | 半導体レーザ / Rb原子の吸収線 / 飽和吸収分光 / ファラデー効果 / 波長安定化 / 波長制御 |
Research Abstract |
従来の半導体レーザの波長安定化では、制御信号を得る為に半導体レーザの注入電流に微小変調を加えている為、結果として半導体レーザの発振幅を広げてしまうという欠点があり、分光実験等の狭い発振幅が必要である実験での半導体レーザの応用に問題となっていた。そこで我々は、波長基準であるRb原子に磁界を印加し、ファラデー効果を利用して直線偏光の偏光面の回転に変調を加え、これを検出して制御信号を得、波長安定化する方法を提案し、発振幅を広げることなく発振波長を安定化することに成功している。今年度はおおよそ当初の計画通りに研究を進めることができた。具体的には飽和吸収分光法を用いて周波数の安定化の実験を行い、より高い安定度を達成できた。すなわち、原子の吸収線が飽和した状態でのファラデー効果を観測し、通常の吸収信号を用いた場合の結果と比較し、飽和吸収分光信号を用いた制御系を構築し、波長安定化を行った。飽和吸収分光信号を用いることで高い安定度が得られ、さらに波長安定化点となる基準周波数は増加はしたが、必ずしも全ての点が高い安定度が要求される波長安定化に用いることができる訳ではないことが分かった。またRbセルに印加する直流磁界の強さを変化することで安定化点がシフトし、吸収点のドップラー幅より広い範囲でその安定度もほぼ一定の値のまま制御できることが分かった。そしてその範囲は、これまで報告されているゼーマン効果を用いた安定化の約400MHzよりも広い範囲の制御であることを確認している。一方、飽和吸収分光光学系には幾つかの異なった光学系があるので、現在これら異なった飽和吸収分光光学系を用いることで、より高度な波長安定化、より多くの安定化点でより高い安定度を実現し、安定化された波長の掃引、制御の実験を行える光学系の検討を行っている。なおこれまでの結果は既に国際会議で報告している。
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Research Products
(14 results)
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[Publications] 中澤 孝男: "ファラデー効果を用いた半導体レーザの周波数安定化における飽和吸収分光光学系の影響" 電子情報通信学会光・量子エレクトロニクス研究会 OQE92-2. (1992)
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[Publications] 小林 吉久: "半導体レーザの直接FSK変調時における周波数安定化と周波数偏差" 電子情報通信学会光・量子エレクトロニクス研究会OQE92-15. (1992)
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[Publications] 上野 隆: "Rb原子吸収のファラデー効果を用いた半導体レーザの周波数安定化と発振周波数制御" 電子情報通信学会論文誌. J75-CI. 460-467 (1992)
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[Publications] 水本 潤一: "飽和吸収分光法による半導体レーザの直接変調時における周波数安定化" 電子情報通信学会光・量子エレクトロニクス研究会OQE92-86. (1992)
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[Publications] 佐藤 孝: "Frequency stabilization and frequency deviation of a Semiconductor Laser under direct frequency shift keving" ISSSE'92. 776-779 (1992)
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[Publications] 上野 隆: "異なった飽和吸収分光光学系における磁気光学効果を用いた半導体レーザの周波数安定化" 平成4年度電子情報通信学会信越支部大会 論文番号139. (1992)
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[Publications] 佐藤 孝: "Frequency stabilization and frequency controll of a semiconductor laser using the Faraday effect of the Rb absorption line" Frequency Stabilized Lasers and Their Applications No.1837-05. (1992)
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[Publications] 二瓶 靖厚: "PEAK方式による半導体レーザの直接変調時における周波数安定化" 電気学会論文誌C分冊. 112. 697-704 (1992)
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[Publications] 朝山 善博: "磁気光学効果を用いた半導体レーザの周波数安定化の評価" 第2回電気学会東京支部新潟支所研究発表会B-23. (1992)
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[Publications] 武田 博: "飽和吸収分光法による半導体レーザの直接変調時における周波数安定化のための基準信号の検討" 第2回電気学会東京支部新潟支所研究発表会B-24. (1992)
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[Publications] 渡辺 誠: "Rb-D_1線を用いた飽和吸収分光法による半導体レーザの直接変調時における周波数安定化" 平成4年度日本物理学会新潟支部第21回例会. 19-20 (1992)
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[Publications] 重野 天秀: "磁気光学効果を用いた半導体レーザの周波数安定化と発振幅" 平成4年度日本物理学会新潟支部第21回例会. 21-22 (1992)
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[Publications] 上野 隆: "Rb原子の飽和吸収分光信号におけるファラデー効果を用いた半導体レーザの周波数安定化" 電子情報通信学会論文誌. J76-CI. 10-17 (1993)
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[Publications] 小林 吉久: "改善された直接FSK変調によるPEAK方式を用いた半導体レーザの周波数安定化" 電気学会論文誌C分冊. 113. (1993)