1992 Fiscal Year Annual Research Report
半導体レーザ能動干渉計における光カオスの解明と情報処理への応用
Project/Area Number |
04650037
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
大坪 順次 静岡大学, 工学部, 助教授 (00176942)
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Keywords | 光カオス / 半導体レーザ / 干渉計 / カオスサーチ / カオスメモリ |
Research Abstract |
半導体レーザを光源とする干渉計において、干渉計の出力光強度を光電検出し、この信号を半導体レーザの注入電流に帰還することにより、干渉計の安定化ができる。このような系の帰還において時間遅延があると、系からの出力であるレーザ光に不安定性が生じ、カオスが発生する。実際には、干渉計としてトワイマン・グリーン干渉計とファブリ・ペロ干渉計を用い、その干渉計出力信号をデジタル遅延回路を通して、半導体レーザへの電流帰還を行った。本年度は、計算機制御可能な高精度デジタル遅延回路と、高精度レーザ電流駆動回路を製作し、安定した光カオス信号の発生を確かめた。 光カオスの制御パラメータとして、半導体レーザのバイアス電流と遅延時間を選び、それぞれの干渉計における光カオスの分岐、周期増倍、カオス窓の存在やそれらの信号の高調波振動を確かめた。その結果、あるバイアス電流と遅延時間の範囲で、典型的なカオスのルートがあることがわかった。これらの結果は、これらの系を表わす遅延微分方程式の理論的解析結果とも一致した。しかし、あるカオスパラメータの範囲においては、通常これまでに知られていないカオスルートも見つかり、理論式のシミュレーションにおいても、そのような解が有り得ることが判明いした。今後、これらの点について検討をする必要がある。 カオスに至る手前の、プリカオス状態においては、無数とも言える多くの周期軌道が存在する。ここで提案している系で、外部から干渉信号に光変調信号を重畳することにより、任意の系の状態からプリカオスの特定のモードに状態を遷移させる、カオスサーチの実験を行い、カオスコントロールが可能であることを示した。今後、これらの結果を発展させて、カオスメモリなどの応用に取り組んでいく予定である。
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[Publications] Y.Liu, J.Ohtsubo: "Chaos in an Active Interferometer" J.Opt.Soc.Am.B. 9. 261-265 (1992)
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[Publications] Y.Liu, J.Ohtsubo: "Period-one Oscillation in a Chaotic System with Multimodal Mapping" OSA Technical Digest Series. 16. 325-327 (1992)
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[Publications] Y.Liu, J.Ohtsubo: "Period Three-Cycle in a Chaotic System using a Laser Diode Active Interferometer" Opt.Commun.93. 311-317 (1992)
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[Publications] T.Takizawa,Y.Liu,J.Ohtsubo: "Optical Chaos in Laser Diode with Electrical Feedback from FP Interferometer" Proc.OPTICS′92. (1993)
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[Publications] Y.Liu, J.Ohtsubo: "Regenerative Spiking Oscillations in Semiconductor Laser with Nonlinear Feedback" Phys. Rev. A. (1993)
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[Publications] 大坪 順次 (分担): "光エレクトロニクス辞典" 産業調査会, 798 (1992)