1992 Fiscal Year Annual Research Report
先進セラミック長繊維強化セラミックスに関する基礎強度特性の評価と破壊機構の究明
Project/Area Number |
04650064
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
星出 敏彦 京都大学, 工学部, 助教授 (80135623)
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Keywords | セラミックス / セラミック長繊維 / 繊維強化材 / 強度特性 / 破壊機構 / 破壊力学 / 統計的性質 / 界面構造 |
Research Abstract |
本研究で対象とするセラミック長繊維強化セラミックスについては材料開発そのものがまだ発展途上にあったため、その供試材の選択にあたってはまず最も将来期待できる材料の再調査を行う必要があった。その調査の結果、計画当初では炭素長繊維強化窒化ケイ素を考えていたが、現時点において最も優れた炭化ケイ素長繊維が候補繊維として有力となり、最終段階では炭化ケイ素長繊維強化炭化ケイ素複合材料を採用することにした。この複合材料は、炭化ケイ素繊維に炭化ケイ素系のバインダーを含浸、硬化および焼成を繰り返すことによって作成されている。 また、強化繊維は連続炭化ケイ素繊維で、500フィラメント/ヤーン、クロス積層8枚の朱子織構造とし、その体積含有率を約40%としたものである。 この供試材については、さらに繊維と母材間の界面特性の向上を図るため、炭化ケイ素繊維に炭素コーティング処理を施すことにした。連続繊維強化セラミックスについては一般に繊維含有率が40%〜60%までの範囲において強化が認められるが、本供試材においても曲げ強度ならびに破壊に要するエネルギーが増大する結果が得られた。とくに、後者の要因としては、負荷過程において計測した荷重と試験片に貼付したひずみゲージの出力との関係から判断して、破壊過程で不連続的な破壊が進行すると推測され、これによって最終破断に至るまでのエネルギーが大きくなったことが考えられる。また、本研究代表者がこれまでに手掛けてきた通常のセラミックスに比較して、破壊靭性の顕著な増大が認められた。なお、破壊靭性評価法による破壊靭性特性の相違についても追試を行い、またアコースティックエミッション(AE)の計測を行う際にそのしきい値の設定に問題が残ったのでAE計測の改善を図ることが次年度の検討課題として残った。
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