1993 Fiscal Year Annual Research Report
先進セラミック長繊維強化セラミックスに関する基礎強度特性の評価と破壊機構の究明
Project/Area Number |
04650064
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Research Institution | KYOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
星出 敏彦 京都大学, 工学部, 助教授 (80135623)
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Keywords | セラミックス / セラミックス長繊維 / 繊維強化材 / 強度特性 / 破壊機構 / 破壊力学 / 統計的性質 / 界面構造 |
Research Abstract |
本年度は,前年度に供試材として選択した炭化ケイ素長繊維強化炭化ケイ素のじん性および曲げ強度試験における積層方向に対する依存性について検討し,破壊モードを明らかにした.なお,前年度の検討結果を踏まえて,この供試材については繊維と母材間の界面せん断強度を低下させるため,炭化ケイ素繊維に炭素コーティング処理を施している.クロス積層面に垂直に負荷を受けるようにした試験片を垂直材,および積層面に平行に負荷を受けるようにした試験片を平行材とする.マトリックスのかさ密度から推定した曲げ強度と垂直材および平行材の強度を比較した結果,いずれの材料ともマトリックスの推定強度よりも高くなった.同様の傾向は見かけの破壊じん性値においても認められた.このような繊維による強化機構としては,前年度にも検討したように繊維表面に炭素コーティングすることによって界面せん断強度が低下するため,強度の低いマトリックスの破断が直ちに繊維の破断に結び付かず,マトリックスが破断した後も繊維による架橋効果を十分発揮されていることが考えられる.なお,じん性,曲げ強度ともに平行材の方が垂直材よりも2倍程度高い値を示すことがわかり,積層方向に対して強度特性が著しく変化することがわかった.これは,垂直材では既に負荷過程において繊維の引き抜け,すべりおよび引張破断を伴い,破壊が進行するのに対して,平行材では最大荷重に達するまでは荷重-変位曲線にほとんど非線形部分が認められず,その後積層面間の層間はく離を生じて荷重負担能力の低下により破断に至る.このような破壊機構の相違が強度特性の相違として現れたものといえる.なお,本供試材に関しては,他のモノリシックセラミックスに比べてじん性および強度ともにまだ低い水準にあり,今後製造方法の改善により緻密化を行い,じん性および強度特性を向上させることが課題となる.
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