1992 Fiscal Year Annual Research Report
金属・窒化物系傾斜機能薄膜による材料表面改質に関する研究
Project/Area Number |
04650071
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Research Institution | Himeji Institute of Technology |
Principal Investigator |
小寺澤 啓司 姫路工業大学, 工学部, 教授 (50047594)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井上 尚三 姫路工業大学, 工学部, 助手 (50193587)
内田 仁 姫路工業大学, 工学部, 助教授 (30047633)
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Keywords | Al-AlN系傾斜機能薄膜 / 高周波反応性スパッタリング法 / オージェ電子分光法 / X線回折 |
Research Abstract |
本研究は、反応性スパッタリング法による金属・窒化物系の傾斜機能薄膜の作製とその機械材料への応用を検討することを目的としたものである。本年度は傾斜機能薄膜の第1段階として、ターゲットに純A1を用いて膜厚方向にステップ状の組成変化を持つA1-A1N系多層薄膜の作製を試みた。まず、本研究補助金により購入したマスフローコントローラーを現有のスパッタリング装置に装着し、ArおよびN_2の流量を精密にコンピュータコントロールできるシステムを構築した。このシステムにより、薄膜作製中のAr+N_2混合ガスをステップ状に変化させることにより、A1-A1N系傾斜機能薄膜を作製した(窒素ガス混合比制御法)。また、以前の研究成果から高周波電力を成膜中に制御することによっても同様な組成制御が可能であると考えられたので、この方法(高周波電力制御法)によっても同様な多層薄膜を作製し、前述の方法によるA1-A1N系傾斜機能薄膜との比較も行った。以下、得られた結果を列挙する。 1.X線構造解析から、作製した多層薄膜の構造はc軸配向したA1Nが無配向のA1上に成長したようなものとなることが明らかとなった。 2.オージェ電子分光法による深さ方向の組成分析結果から、薄膜表面は窒素リッチなA1Nとなっており、膜厚方向に組成が変化した薄膜が形成できていることがわかった。しかし、組成の変化の様子は完全なステップ状とはなっておらず、比較的なだらかとなっていた。これは、ガス切替時に時間遅れが生ずることが影響しているものと考えられる。 3.基板温度を室温とすると滑らかな表面の薄膜が得られるのに対し、基板温度が高くなると凹凸の激しい表面となることが明らかとなった。 4.高周波電力制御法、窒素ガス混合比制御法の2種類の方法によって傾斜機能薄膜の作製が可能であることが結論できた。また、形成後の薄膜の構造・組成には大きな違いは認められなかった。
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