1992 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04650078
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
渋谷 寿一 東京工業大学, 工学部, 教授 (60016417)
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Keywords | 積層材 / 接合強度 / 接触応力 / はく離 / 弾性論 / 摩擦 |
Research Abstract |
近年,CVDやPVDによるセラミックスコーティングなどに見られるように,積層材料の使用が急速に拡大しつつある.積層材料においては特に層間はく離が問題であるため,層間応力を正確に把握することにより層間はく離を事前に予測して破壊を未然に防ぎ,強度的な信頼性を向上させることが重要である.本研究では,積層材料が外力を受ける場合の層間応力を弾性論に基づいて解析し,層間応力と外力や積層材料の性質などとの関連を体系的に明らかにすることを目的とした.本年度は,積層材料の表面に外力が作用する問題のモデルとして,剛体パンチの圧入を受ける二層半無限体の応力解析法を軸対称三次元弾性論に基づいて定式化し,応力や変位の分布を計算するための計算機プログラムを作成した.本解析手法では,剛体パンチと積層材料の表面との間の接触条件(摩擦の有無),パンチの形状(平面,曲面),表面層の厚さ,表面層と下層との材料定数比などの種々の因子をそれぞれ変化させた場合について応力・変化の解析が可能である.研究の結果,以下の知見が得られた. (1)パンチを一定の力で圧入する場合,表面層と下層との層間の応力は,表面層が下層に比べて軟らかくなるほど大きくなり,表面層の厚さが薄くなるほどその傾向は顕著になる. (2)平面底剛体パンチの場合,パンチと表面層との間の摩擦によって部分的な滑りが生じる場合は,全面が固着した場合と摩擦のない場合との中間の状態になり,応力分布は固着部分と滑り部分の境界で折れ曲がりを生じる. (3)摩擦が応力分布に及ぼす影響は,表面層と下層の横弾性係数の比が増大するにつれて大きくなる. なお,本研究の成果は今後学会等で公表する予定である.
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